キャンディーズ解散から30年でついに…伊藤蘭ファン歴50年・石黒謙吾が再び真っ白な灰になった日

石黒謙吾 (C)週刊実話Web
村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前までにやっておくべきこと」、今回は全ラン蓮代表・石黒謙吾氏のインタビュー(中編)をお届けする。キャンディーズ・伊藤蘭に命を懸けた50年来のファンの生き様を見よ。

キャンディーズ解散後、酒に溺れ虚無と暮らし…

1978年4月4日。後楽園球場にて昭和芸能史上最多といわれる5万5000人を集めて行われたラストコンサート「キャンディーズ ファイナル・カーニバル」を最後に、キャンディーズは解散した。

コンサートに通い始めて2年、高校3年生に上がったばかりの石黒少年はこのコンサートで涙も枯れ、精も根も尽きるまで叫び、キャンディーズの3人と共に美しく燃え尽きた。

しかし、その後も人生は続いていく。彼女たちは解散宣言通り、普通の女の子たちに戻ったが、石黒は普通の男の子には戻ることはできなかった。

心の奥底には大きな穴が開いていた。高校3年生の1年間、廃人のように虚無と暮らした。酒に溺れ、キャンディーズの曲をかけながら、過去に縋っている中、燃えカスの中に“東京”という唯一の未来を示す道標があった。

「東京に行くしかないだろうな、と。東京芸大志望だけったけどデッサンもろくにしていないから、美大を目指して予備校に入るんだけど、それも半年でドロップアウト。浪人してるとは言いながら実質は何もしていなくてね。
ただ2年目の’80年、ランが俳優として芸能界に復帰するんだ。『ヒポクラテスたち』という映画でね。うれしい…という気持ちはなかったな。
『普通の女の子に戻りたい』というあの言葉から、解散まで俺たちは本当に何もせずに燃え尽きるまでキャンディーズに捧げていたこともあったからなのか、釈然としない気持ちがどこかに残っていたんだよね。
とはいえ気になるからランが初めて人前に現れた舞台挨拶にも行ってるんだけど、すごく複雑な気持ちだった」

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