キャンディーズ解散から30年でついに…伊藤蘭ファン歴50年・石黒謙吾が再び真っ白な灰になった日

伊藤蘭に会いたい一心から雑誌記者に転身

全ラン連
ランは次の道へと歩み出している。一方の自分はまだキャンディーズから抜け出せないまま、ずっと同じ場所で悶々としている。何をしているんだろう。3浪が決まった日。石黒は、次の道に進むことを決めた。

道の先にはやはり彼女たちがいた。キャンディーズを追い掛け続けた中で、身近にあった“雑誌”。その編集者になって、ランに会いたい。ただそれだけ――。石黒謙吾21歳の春。雑誌編集者を目指して専門学校へと進んだ。

「ランにいつか会えればいいな…という理由で雑誌編集者を志して、講談社の『PENTHOUSE』で記者になった。もちろん、すぐにインタビューやグラビアの企画で出演を3度持ち掛けたよ。断られてしまったけどね。
まぁ、彼女もそんなに派手な発言をするような人ではないし、そんなに簡単にアポなんて取れるわけがないですよ。そこからは僕自身、仕事が忙しくなったこともあって、表面上は忘れようとしてたんだろうね。
とはいっても、CDは50年間、毎日聴いているから、『春一番』のアルバムなら1万回以上聴いている。あとは、’89年に水谷豊と結婚を発表したときは何に操を立てていたのか『これで僕も結婚していいんだ』と思えてね(笑)。その1年後に僕も結婚したんだから」

あの頃、キャンディーズに向けた石黒の際限ない情熱は、そのまま本づくりに向けられた。2001年には著作の『盲導犬クイールの一生』が大ヒットし、映画化されるなどいくつもの作品を創り出してきた。

そして、’08年がやってくる。キャンディーズが解散して30年。47歳になっていた少年のもとに『週刊昭和』という雑誌からインタビューの聞き役のオファーが舞い込んでくる。

取材対象は伊藤蘭その人である。解散してからこれまで頑なにキャンディーズの話をしていない彼女が、この節目の年にキャンディーズ時代を振り返るインタビューを受けてくれたのだ。