キャンディーズ解散から30年でついに…伊藤蘭ファン歴50年・石黒謙吾が再び真っ白な灰になった日

インタビュー実現で再び“真っ白な灰”に

「まさか、本当に会える日が来るとは思わなかったからね。これは僕の人生における総決算とも言える仕事になる。
インタビュー前には、僕がこれまで出してきた本5冊と一緒に、これまでのキャンディーズであり、伊藤蘭への思いの丈を綴った手紙を事務所の方へ送らせてもらったんだ。A4の紙で5枚以上。これまで僕がキャンディーズをどれほど真剣に応援してきたのか、とかね。
さすがに前夜は緊張して眠れなかった。仕事柄、これまで芸能人、有名人にはたくさん会ってきたけど、そのどれとも全然違ったよね」

それは念願の対面だった。現場に入ってきた彼女は、あのときと少しも変わらずに輝いていた。さらに入って来るなり、笑顔で石黒に「すみません。本は読んでませんよ~」と断りを入れた。

「なんて気遣いのできる人なんだろうか」。石黒は感動していた。わざわざ「本を読んでいない」と言うのは、つまり「手紙は読みました」という意志表示でもある。互いに置かれた立場を十分に理解した上で、1時間半にわたる人生を濃縮したようなインタビューは始まった。

「僕自身、解散してからもずっと情報を追い掛け続けてきたから分かるんだけど、それまで語ったことがない話ばかりでした。
それだけ大事にしてきたんでしょう、3人での時間。解散のとき、何を思っていたのか。後楽園のラストコンサートで歌った『つばさ』の詞はランが、スーとミキが横にいるホテルの部屋で書いた逸話とかね…衝撃的でした。
雑誌に書き切れないぐらい真摯に話していただいて。そう、もう人生に悔いはない。そう思えるぐらい燃え尽きることができました」

人生で2回も同じことで燃え尽きることができるのは幸せだ。生きる目的を達成してしまった石黒は再び真っ白な灰になった。

(後編に続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」10月2・9日号より