神戸女性刺殺事件は現代社会の病巣 増加する「面識なし・関係不明」犯罪の恐怖

60歳以上の加害者が12%も

神奈川県警本部長は記者会見で、「相談を受けていた女性が殺害されるという重大な結果について、最高責任者として責任を痛感している」と謝罪。川崎臨港署や県警本部の43人(一部は退職)を処分することに。本部長自身も警察庁から口頭厳重注意を受けた。

神奈川県警では過去のストーカー事件をきっかけに対応を強化していた。しかし、検証の結果、ストーカー事案への体制が形骸化し、連携不足が起きるなど機能不全に陥っていたことが分かり、ストーカー事件の司令塔となるポストを新設することを決めている。

警察庁は、神奈川の事件を受け、被害者からの申告がなくても警察の職権で加害者に警告できるようストーカー規制法を改正する方向で検討を始めた。

警察庁によると、ストーカー事案の相談等件数は’24年が1万9567件と依然として高い水準にある。

被害者の86.4%が女性、男性は13.6%。年齢別では20代が最も多い35.1%、次いで30代の21.1%、40代の17.0%。

加害者は20代が20.3%、次いで30代16.2%、60代7.0%で、70代以上も5.3%になっている。

「注目すべきなのは、被害者と加害者との関係です。『交際相手(元を含む)』が最多で37.1%、『知人友人』が13.4%、『勤務先同僚・職場関係』が12.6%。
しかし、被害者が加害者を特定できていない『関係(行為者)不明』が10.7%、『面識なし』も8.8%に上っています。『面識なし』は前年よりわずかに減少したが、『関係(行為者)不明』は増加しました」(全国紙社会部記者)

今年8月にも、山形県内で面識のない40代女性に恋愛感情を抱いた47歳の男が、感情を満たされなかったことを恨んで複数回にわたり、女性宅に押しかけるなどストーカー規制法違反の疑いで逮捕されている。

「女子大生が元交際相手のグループに嫌がらせをされた後、殺害された桶川ストーカー殺人事件から26年。同事件を契機にストーカー規制法が制定され、その後も規制強化が続いているが、いまだに抜本的な解決策は見つかっていません」(事件ライター)

関係不明、面識なし犯罪は、現代社会の病巣だ。

「週刊実話」10月2・9日号より