神戸女性刺殺事件は現代社会の病巣 増加する「面識なし・関係不明」犯罪の恐怖

AIで生成したイメージ
兵庫県神戸市内で8月、20代女性が見知らぬ男に尾行されたうえ、オートロック式の自動ドアが閉まらないうちにマンション内に侵入される「共連れ」の手口を使われて刺殺される痛ましい事件が世間を震撼させたのは記憶に新しいだろう。

面識のない相手や被害者が加害者を特定できていないストーカー事案は増加傾向にあり、捜査の対応の難しさなど課題は多い。

神戸市中央区のマンションで8月20日午後7時20分ごろ、帰宅した保険会社社員・片山恵さん(24)が、男にエレベーター内で羽交い締めにされ、包丁で刺殺される事件が発生した。

女性の悲鳴を聞いた住人が110番通報。片山さんは自室のある6階エレベーター前で血まみれになって倒れていた。左胸などを複数回刺されており、腕などに抵抗の際にできた傷があった。凶器の包丁はマンション近くの駐車場で見つかっている。

兵庫県警は2日後、谷本将志容疑者(35)を殺人容疑で逮捕した。

谷本容疑者は、片山さんを刺殺した後、JR新神戸駅から新幹線で東京方面に移動。兵庫県警は防犯カメラなどの捜査で逃走先を絞り込み、依頼を受けた警視庁の捜査員が東京都奥多摩町で谷本容疑者を見つけ、身柄を確保された。谷本容疑者は片山さんと全く面識がないストーカーであった。

片山さんは20日午後6時半ごろ、勤務先の保険会社を退社して業務の郵便を出すために郵便局に立ち寄った後、阪神電鉄に乗って移動して神戸三宮駅で降り、スーパーで買い物。さらに、新交通システム「ポートライナー」で自宅近くの駅で降り、帰宅していた。

谷本容疑者は片山さんの会社近くで待ち伏せし、退社から帰宅するまでの約50分間、尾行を続けたとみられる。

片山さんの住んでいたマンションの入り口はオートロック式だったが、自動ドアが閉まらないうちに後ろから入り、すり抜ける「共連れ」の手口でマンション内に侵入したようだ。

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