「日本の面白さを再認識させる」地方観光の変革を目指す“観光王”マウンティオの人生を賭けた野望

「観光される側になり、見え方が変わった」

マウンティオ (C)週刊実話Web
人生とはしばしば旅にたとえられる。未知なる景色を目指し見知らぬ人々、新たな発見に心躍らせる旅は人を魅力してやまない。旅ガラスが生きていけるのは、飛び続ける意志があるからだ。

その歩みを止めたとき、人は現実という名の泥濘に足を取られ、再び飛ぶことができなくなってしまう。

観光王もまた、ひと所に腰を落ち着けた暮らしを夢見た。だがそれは所詮、旅人には似つかわしくない幻想だったのだろう。やがて妻子は愛想を尽かし、賑わいを誇ったYAMAも、時の流れとともに静けさへと呑み込まれていった。

「まぁ、普通の感覚で考えれば苦しい時間なんだろうが、観光王としては、いい経験だ。観光される側の人間になったことで、これまでとは観光地や宿の見え方がまるで変わった。
たとえばこの1泊2000円のゲストハウス。小さな2段ベッドスペースでも細部にわたるメイキングの丁寧さ、コンセントや棚の位置など、利用する人間に快適なように配置されている。この心地良さは実際に寝て利便性を確認しないとできないことだ。
俺はこうして旅を実感しながら息をしている。何もしていない放蕩のように見えるかもしれないが、知見を広げ、空気を吸い、人と触れることで血肉にしているんだよ。いつか、分かるときが来るだろう。なぜ? それは俺が観光王になるからだ。ピピース」

そんな意味の分からない言葉を最後に交わし、観光王を名乗る奇妙な男・マウンティオとは別れた。

それからはマウンティオが旅日記として全力でつけているというnoteやオリジナルソングを全力で歌うYouTubeなどで彼の活動を確認することができた。

それによると彼は西表島から離島を巡り北上したり、日本三大豚まんを語ったり、がっかり名所を擁護しながら、ホームタウンであるYAMAへと戻っていったようだ。