インバウンド頼みの日本観光を復活させるキーマン“観光王”マウンティオとは何者か?

マウンティオ (C)週刊実話Web
村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前までにやっておくべきこと」、今回はマウンティオのインタビュー(前編)をお届けする。日本観光界の王者を自認する彼は、藤田観光創立者・小川栄一、西武グループの堤義明をもしのぐ、観光に青い情熱を秘めた傑物なのである。

日本観光業界が産み落とした悪魔か亡霊か

彼に会ったのは、人もまばらな真冬の西表島だった。人々の寝静まった安宿のリビングで、エリザベスチェアに身を委ねながら葉巻をくゆらす彼は、これまで会ったどのタイプの人間にも属さない奇妙な空気をまとっていた。

軍帽にアビエーターサングラス。『地獄の黙示録』キルゴア中佐のごとく勝利の確信に身を震わせながら彼は言った。

「カンコーオーだ」

それが初め、何を意味することなのか理解できなかった。肝硬変かと思い「お酒は控えた方がいいですね」と頓珍漢な返事をしてしまった非礼を詫びなければならない。

カンコーオー。観光王のことだ。私はその言葉に息を飲むと同時に、ありったけのツバを眉に塗りたくらずにはいられなかった。

観光王の称号に思い浮かぶは藤田観光創立者・小川栄一、西武グループの堤義明、はたまた星野リゾート星野佳路のような日本をキャンパスに“観光”という無二の色彩を描いてきた男たち。

彼らへの憧れが悪性変種を起こしたかのような目の前にある禍々しい佇まいは、かつて日本の花形産業だった観光業界が最後に産み落とした悪魔か亡霊か。

「マウンティオだ」

彼は自らをそう名乗り右手を差し出した。マウンティオ。外国人? いや彼は生粋の日本人であるという。もはやインバウンド頼みとなってしまった日本観光を本質から復活させるために地獄の山から遣わされた使者は、挨拶代わりに彼の大義を訥々と話し始めた。

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