インバウンド頼みの日本観光を復活させるキーマン“観光王”マウンティオとは何者か?

Google検索では小川栄一、堤義明より上

「観光王になる男にとって、一つの成功など些末なこと。世界には例を見ない文化に自然、治安の良さとメシの美味さ、おもてなしの精神などすでに百万篇は言い尽くされたそれらの題目以外、日本のローカルにはもっと深くて趣のある観光資源が眠っている。
そして、無名の人間が何か面白いことをやろうとしたときに、それを受け入れようとする懐の広さがあると確信している。
その背景として、各ローカルの自治体にはどんなに小さくてもバブル時代のツアーツーリズムの名残で、必ず観光協会というものがあり力を入れようとしている。
これは世界でも例を見ない特殊な環境でありながら、やるべきことは画一的な観光紹介しかできず、せっかくのポテンシャルを活かしきれずにいる。
彼らは面白いことを常に求めている。そこに卓越したアイデアさえあれば、若い人間でも参入できるスキが必ずあるんだよ。
オレはね、日本を隈なく歩きながら、海、山、島…可能性の種子を拾い集めてきた。だから言えるんだ。この国は問答無用に面白い。ただ、その面白がり方を間違えているんじゃないのかってね」

私の目の前にいたのは、間違いなく観光王だった。まことしやかに語られていく観光話にすっかり魅了されていた。夜が更け部屋に帰る別れ際、マウンティオは名刺を差し出す。そこには代表取締役社長の肩書と“YAMA”を運営する彼の会社名があった。

「KING TOURISM JAPAN」――日本観光の王者。観光王である。初めはつばを塗りたくっていた眉がマウンティオの青い情熱により乾いていく。

部屋に帰りGoogleで「観光王」と検索する。小川栄一より、堤義明より上位に出てきたのがマウンティオだった。本物だ。彼こそが観光王である。冬の南国の夜に、私は戦慄した。

(中編に続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」9月4日号より