衆院議員1年生の橋本龍太郎は紅顔の美青年だった 自民党に現れた“若武者”伝説

加山雄三と同期だった可能性も?

岡山県が橋本の選挙区だが、地元記者は、こう言っていた。

「当選3回くらいまで、橋本の街頭演説に集まるのは大半が女性で、それも若い女性が圧倒的に多かった。
まさに“若武者”登場に沸き、握手してもらって腰を抜かしたり、失神したりする女性もいた。ただし、橋本の話は理屈っぽくて、うまいとは言えなかった。
もっとも聴衆の女性は話など聞いてないし、その姿を見ているだけだから、まさに顔見せで十分。
しかし、たしかに若い女性はよく集まったが、子細に分析すると選挙権のない未成年が多かったことから、橋本の選挙本部は『大丈夫かいな』と危機感を抱いていた」

橋本の美男子ぶりについては、かつて防衛庁長官、労働大臣などを歴任した松野頼三が、こう話してくれたことがあった。

「じつは橋本は、すんでのところで映画スターになりそうだった。
慶應義塾大学法学部の学生のとき、映画の東宝が親父の橋本龍伍のところに来て、『わが社で第1期ニューフェイスを募ることになったので、息子さんを出してみませんか』と口説いたんだ。
結局、親父は反対で、橋本自身も俳優に興味がなかったことから実現しなかった。このとき一世を風靡した美男俳優、上原謙の息子も同じ慶應の学生で、一緒にスカウトされた。
その息子は間もなく“加山雄三”としてデビュー、以後は俳優、歌手として道を歩むことになった」

その後、橋本が政治家として箔をつけていく過程で、竹下派の領袖である竹下登からは人気俳優の杉良太郎と比べられ、「“橋龍”の流し目は“杉良”といい勝負だわな」と絶賛されたこともあった。