美味しいハンバーグの条件は“IJOC” バーグマン田形が提唱する国民食としてのハンバーグ

バーグマン田形
村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前までにやっておくべきこと」、今回はバーグマン田形のインタビュー(下)をお届けする。『静岡ハンバーグ王国プロジェクト』のプロジェクトリーダーであり、『一般社団法人日本ハンバーグ協会』の理事長でもある同氏は、令和の現代に“第4次ハンバーグブーム”を巻き起こした第一人者なのである。

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インサイドジューシー、アウトサイドクリスピー

“本当に美味しいハンバーグとは何か?”

誰しもが考える、この粗挽きすぎる問答に日本ハンバーグ協会理事長、バーグマン田形は一つの答えを提示する。

「ハンバーグは、本当にいろいろな姿かたちがある可能性の宝庫です。しかし、ハンバーグ協会では“美味しい”という概念に一つの定義をしています。
それは“IJOC”。インサイドジューシー、アウトサイドクリスピーの略。つまり中がふわっとジューシー、外がカリッと香ばしく、です」

IJOC。日本オリンピック協会でもなければインターポールでもない。それは、世界へ通ずるメイドインジャパンの美味しいハンバーグの解答でもある。

「美味しさを表すジューシーたるゆえんは外側がカリッと焼いて肉汁を閉じ込めているからで、この焼き応えが肝なんです。そしてハンバーグとは挽肉の集合体。
ステーキや焼肉は部位こそがすべてと言えますが、ハンバーグはチーム力で戦うグルメ競技。お店によって部位も違えばつなぎも違うので、いろんな美味しさが複雑に絡み合ったバランスで、美味しさを楽しめる料理なんです。
さらにそこにソースの要素も乗ってくる。今は『挽肉と米』以降、薬味のスタイル、さらにごはんと合うことが重要視されています。つまり、より和食のスタイルに近づいてきているんですね」

元々ハンバーグは18世紀ドイツのハンブルグに起源があり、ハンバーグはハンブルグの英語読みでもある。

日本に渡来したのは明治時代で、その後、戦後に進駐軍の影響で形を変えながら、高度成長期に食卓に上がるようになると、1970年代にファミレスで一般化。醬油ベースの「和風ハンバーグ」や「てりやき」など、日本人好みに味が進化していき、現在では日本独自の料理として世界へ誇るべき食文化となった。

これは、中国を起源とするラーメン、インドのカレーと同じ、日本の国民食へと昇華した2大メニューと同じルートでもある。