「神様が創った試合」高校野球史上最高視聴率29.4%を叩き出した箕島vs星稜(1979年)の死闘

NHKと朝日放送のアナが「奇跡」と報道!

バッターは森川康弘、14回裏に隠し玉でアウトになった三塁走者だ。

その初球は一塁ファウルグラウンドへの力のないフライ。誰もが試合終了を確信、ある箕島の2年生は打球の行方を追いながら「明日から新チームだな」と思っていたと振り返る。

ところが、ファウルフライを追っていた星稜の一塁手・加藤直樹が転倒。この年から敷かれた人工芝の切れ目にスパイクが引っかかったためといわれている。

命拾いした森川がカウント2-1から放った打球は、カクテル光線を切り裂きレフトスタンド最深部へ同点ホームラン。実況していたNHKと朝日放送(大阪)のアナウンサーが異口同音に「奇跡」と評した一発だった。

そして試合は当時の延長限度いっぱいの18回へ。

伝説の決勝戦、松山商業(愛媛)対三沢(青森)以来、10年ぶりの最長イニング。表に得点できず星稜の勝ちがなくなったその裏、箕島の最後の攻撃に知られざるもう一つのドラマがあった――。

(敬称略)

史上最高の高校野球・後編】へ続く

取材・文/岡本萬尋