「自民党は惰性のかたまり」金権政治を嫌った“ミスター政治改革”羽田孜の矜持
「平時の羽田」と呼ばれた“庶民派”
「政治の世界は、けっして特別な世界じゃない。言葉でも、なぜ“永田町用語”でなく、ごくふつうの言葉ではいけないのかということです。
だから、自民党政治は分かりにくいと言われるし、時に嫌われることになる。
加えて、いまの自民党は“驕り”より、むしろ惰性のかたまりでしょう。“驕り”なんていうものがあれば、むしろ金属疲労などと言わず、もっと強い政党になっていたと思っていますよ。
いま、党としての活力、ダイナミズム、緊張感、みな足りませんね」
平成2年(1990年)の春、筆者が羽田孜にインタビューしたとき、いささか自民党を突き放したような言葉が返ってきた。
時に羽田は自民党内で、小渕恵三、橋本龍太郎、小沢一郎、渡部恒三、梶山静六、奥田敬和と共に、竹下(登)派「七奉行」の一人として将来を買われていた。
かつて竹下派大幹部の金丸信(元副総理)などは、「平時の羽田、乱世の小沢、大乱世の梶山」と口にし、世が穏やかならば羽田が首相の座にすわるのが最も適役で、小沢や梶山はむしろ政局が荒れているときが出番とみていた。
羽田は平素でも「血につながる政治、心につながる政治、ふつうの言葉が通じる政治」をモットーに“市民政治家”を標榜しており、温厚な性格も手伝って同僚議員たちからの受けもよかった。
なるほど、羽田は10年間にわたってバス会社のサラリーマンを経験した“庶民派”だったのだ。
羽田の父・武嗣郎は、新聞記者から代議士になった人物である。
政治家としてより記者、ジャーナリストとしての父を尊敬していた羽田は、成城大学を卒業すると新聞社の入社試験を受けたが失敗、やむなく「小田急バス」に入っている。
羽田は本社の観光課係長などを経て企画調査室課長で退職したが、この間、観光バスで文学ゆかりの地を巡る「文学散歩ツアー」を自身で企画し、同社としてのヒット作になったものだ。
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