Xで叫ぶ“日本人ファースト”のパラドックス グローバル資本主義に寄生するナショナリズムの現在

AIで生成したイメージ
「日本人ファーストって、日本人にとって当たり前じゃん」 

そんな投稿がXで拡散されている。移民や外国人生活保護に反対する文脈でしばしば用いられるこのスローガンは、一部のネットユーザーにとって“当然の正論”と映っているようだ。 

だが、その主張はどこで、誰の手によって、どうやって発信されているのか。皮肉なことに、その「当然の主張」は、アメリカ資本のSNSプラットフォーム上で展開されている。 

使っているスマートフォンはApple、アクセスしているサーバーはアメリカの西海岸。そもそも“X”という名称自体が、イーロン・マスクの発明品だ。 

つまり、日本人ファーストというナショナリズム的主張は、外国資本が構築した空間でこそ拡散される。 

ここに、21世紀的ナショナリズムの「滑稽な逆説」がある。 

生活はグローバル、主張はナショナルでも矛盾はない

言うまでもなく、私たちの生活はすでに純粋な日本製では成り立たない。YouTubeで政治思想を語り、Amazonで保守系の書籍を買い、LINEで仲間と共有し、PayPayでコンビニ飯を買う。その背後には、アメリカ、韓国、中国、そして多国籍企業が存在する。 

この状況で「日本人のための政治を!」と声高に叫ぶことは、一見すると筋が通っていないようにも思える。 

しかし、だからといってその主張を「使っている道具が外国製だから」という理由で封じることはできない。思想の正当性は、プラットフォームの出自に左右されないからだ。 

問題は、そこに「矛盾がある」という事実を自覚しているかどうかに尽きるだろう。