「空白の一日」で巨人から移籍 阪神に人生を翻弄された小林繁の物語

阪神球団創設90周年。プロ野球界で長らく巨人と人気を二分してきた“西の雄”だ。その阪神の番記者として陰に陽に取材してきたのが、元スポーツニッポンの吉見健明氏。トップ屋記者として活躍した同氏が、知られざる阪神ベンチ裏事件簿の“取材メモ”を初公開する。
「江川事件」で阪神に移籍した小林繁
球団創立90周年を迎えた阪神タイガースは今シーズンもファンを熱狂させ続けている。本連載ではこれまで阪神の歴史を彩ったスター選手の取材秘話を紹介してきたが、最後にもう1人、阪神という球団に人生を翻弄された選手について触れておきたい。
読売巨人軍が引き起こした「空白の一日」=「江川事件」で、阪神に移籍した元巨人エースの小林繁だ。
小林は嘘のつけない真っ直ぐな男だった。だから巨人や阪神といった人気球団の理不尽な事情に翻弄され、選手生命を消耗してしまった。
いや、野球だけでなく、その短い人生までも翻弄されてしまったと言っていい。
阪神移籍の経緯はあまりに有名だ。
1978年11月のドラフト会議前日、巨人は野球協約の盲点を突いて江川卓との契約を強行した。
この事件の落としどころとして、ドラフトで江川の交渉権を獲得した阪神とのトレード相手に指名されたのが小林だった。
筆者は阪神入団会見直後、小林に単独取材している。
これは小津正次郎球団社長から「お前が面倒を見て小林がやりやすいように仕切ってくれ」と頭を下げられた江本孟紀の口利きだった。
江本は法政大学野球部の1学年後輩にあたり、親交のあった筆者を引き合わせてくれたのだ。
入団会見を終えたばかりの小林は映画俳優のような甘いマスクとスリムな身体が印象的で、初対面の筆者が驚くほど率直にトレードへの思いや巨人への不信感を口にした。
紹介してくれた江本の手前、記事では当たり障りのない発言しか書かなかったが、そのまま活字にすれば阪神内での立場が危ういものになっていた。
ただ、小林の率直な物言いに不快な感じは一切しなかった。
世間は小林を「巨人と江川の犠牲者」と見ていたが、爽やかな口調で「同情はしてほしくない」「僕は野球が好きだから阪神に来た」と言い切る姿勢は実に清々しかった。
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