「空白の一日」で巨人から移籍 阪神に人生を翻弄された小林繁の物語
「7億円の外車2台が売れなくて不渡りを出しました」
小林は13勝を挙げた1983年を最後に30歳の若さで引退を決断。血行障害もあったそうだが、江川事件以降、嫌でも注目を集めてしまう野球から逃れたかったのかもしれない。
現役生活11年間の成績は139勝95敗。プロ野球選手として“太く短い”ものだったが、引退しても借金は膨らむ一方だった。
現役時代はそれなりに社長業務もこなしていたが、小林が経営する飲食店にはその筋の人間が頻繁に出入りするようになり、評判は良くなかった。
黒塗りの車が何台も横付けされ、借金取りが「金返せ!」と小林に詰め寄る姿を報道陣も目撃している。
引退後の小林は、TBSの野球解説者を務めている。事業の一つだった自動車販売会社を巡る裁判沙汰が話題になると、局にも「金返せ!」「小林を出せ!」といった電話が殺到し、契約解除に追い込まれている。
筆者の取材手帳には、最後に小林を“直取材”したやり取りが記されている。
年の瀬も押し迫った1991年12月、東京・麻布十番の喫茶店で会った小林は現役時代と変わらないダンディーな姿で現れた。
「7億円の外車2台が売れなくて不渡りを出しました。私が知らないうちに契約書に私の名前のゴム印が押されていたんです」
騙されて巨額の借金を背負った経緯を小林は包み隠さず話してくれた。
その後の人生も波瀾万丈で、私生活では3度の結婚に加え、参院選出馬やバブル崩壊による借金での自己破産申請も経験した。
この間、近鉄コーチに就任するなど野球との接点があったことは救いだが、日本ハム一軍投手コーチ昇格が決まった矢先の2010年、57歳の若さで急死してしまったことは残念でならない。
【一部敬称略】
「週刊実話」7月17日号より
【阪神球団創設90周年ベンチ裏事件簿】アーカイブ
吉見健明
1946年生まれ。スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。スポニチ時代は“南海・野村監督解任”などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。著書多数。
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