「究極を言えば、ホソミの国を作ること」元横浜ベイスターズ“ドラ1”細見和史が辿り着いた考え

細見和史(C)週刊実話Web
瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前までにやっておくべきこと」、今回は細見和史氏のインタビュー(上)をお届けする。同氏は横浜ベイスターズにドラフト1位で入団し、2004年に引退。民間企業に再就職し、その後人材育成、健康サロン事業などを手掛ける会社を設立している。

プロ野球選手からサラリーマン、そして企業家へ

男はかつて、野球界の12分の1を勝ち取ったスーパーエリートだった。

突出して何かをやった記憶はない。ただ、マジメに。愚直なまでに真面目に野球に打ち込んできた結果、ついに誰もが憧れるその勲章を手に入れた。

だが、生き馬の目を抜くようなプロの世界では、人の良い彼に野球の神様は微笑んではくれず、彼はわずか9年でプロの世界を去った。

引退後はサラリーマンとしてコツコツと真面目に15年間働き、その誰からも好かれる人柄と実直な性格が評価され、マネジャーを任されるまでになった。

しかし、2019年。46歳を迎えた男は、死ぬまでにやらねばならないことに気づく。

「究極を言えば、ホソミの国を作るということです」

その男、1995年横浜ベイスターズドラフト1位の細見和史は、筆者の目をまっすぐに見据えて確かにそう言った。

冗談でそんなことを言うような軽い人間ではない。

言葉の意味はよく分からないが、その眼差しには一点の曇りもない。

細見が本気で何かを為そうとしていることは痛いほど伝わってくる。だが――ホソミの国を作るとは一体なんのことであるのか。

「まだうまく言語化はできないのがもどかしいのですが、僕なりに考えてたどり着いた考えです。
プロ野球、不動産、どちらの世界でも一生懸命やってきたつもりです。でも、野球を辞めて以降、心のどこかに『自分のやるべきことはこれが最終地点じゃない』という拭い難い思いがありました。
それまでは、全部が『自分自分』という考え方だったからなのかもしれません。でも、本当に大事なことはもっと本質的なものだった。
最初はぼんやりとしたものでしたが、いろんな人や出来事との出会いがあり、自分自身も勉強をしていくなかで、次第に輪郭が見えてきたような気がするんです。もちろん、まだまだ朧げではあるんですけどね」