「証券口座乗っ取り事件」中国マフィアと国内犯罪集団“連携の闇”不正アクセスで売買額は3000億円超に

AIで生成したイメージ
証券会社に開設した取引口座が不正アクセスで乗っ取られ、株式が何者かに勝手に売買されて損害を被る事件が相次いでいる。
今年1月以降の不正アクセスによる売買額はすでに3000億円を超えた。
比較的資産に余裕がある個人投資家だけでなく、老後のための資産運用として国が推奨している新NISA(少額投資非課税制度)の利用者にまで被害は広がっている。
裏で中国マフィアと日本国内の中国人犯罪グループが連携している可能性が、本誌の取材で浮かび上がってきた――。

偽サイトが不正アクセスの入り口に

証券口座の乗っ取りは、フィッシング詐欺と相場操縦を組み合わせた手口であることが大きな特徴だ。

まず、犯罪グループは個人投資家らに対し、証券会社を装って「重要」「緊急」「オンラインサービスの利用規約変更」などとしたタイトルの偽メールを送り付け、偽サイトに誘導して証券口座にアクセスするためのIDやパスワードを不正に入手。

このIDとパスワードを使って本人になりすまして証券口座に不正アクセスし、口座に入っていた株式を勝手に売却して資金化するのだ。

この資金を使って、犯罪グループが事前に買い付けていた超安値の「ボロ株」を高値で買い取り、犯罪グループは多額の利益を得ていた。ボロ株の大半は中国企業株だった。

一連の取引は口座間の取引ではなく、証券市場を通じて行っており、高値の買い注文と高値の売り注文をぶつけて株価を吊り上げていた。

犯罪グループは、足がつかないようにするため、証券口座などの名義を第三者名義にしているとみられ、海外口座に資金を飛ばしたり、暗号資産にしたりといったマネーロンダリングを行っている可能性が高い。

個人投資家らは、一連の不正取引により、証券口座で運用していた価値の高い株式がボロ株に入れ替わることで多額の損害を被っている。

被害額が数千万円に上る個人投資家もいるというから事態は深刻だ。