「証券口座乗っ取り事件」中国マフィアと国内犯罪集団“連携の闇”不正アクセスで売買額は3000億円超に

実態解明は中国捜査当局との連携が不可欠

金融庁によると、今年1~4月までの間に証券口座が乗っ取られた不正取引は3505件に達し、売買額は3049億円に上る。

不正取引は1月39件、2月33件にとどまり、売買額も1億数千万円程度だったが、3月は687件・約260億円、4月は2746件・約2790億円と急増。

金融庁が5月8日に公表した時点では、顧客が被害に遭った証券会社は楽天証券、SBI証券、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJeスマート証券の9社だった。

「5月28日の記者会見で日本証券業協会の森田敏夫会長は『現在、ホームページなどで被害があったと正式に表明している会社は17社ある』と明かしました。
新たに被害が判明したのは、SBIネオトレード証券、IG証券、立花証券、内藤証券などです。証券口座乗っ取り被害は日本企業が狙われているとみられ、まだまだ拡大しそうです」(全国紙社会部記者)

一連の事件について、ある捜査関係者は、被害者が日本の個人投資家であること、中国企業や日本企業の株式が取引されていること、フィッシングメールの末尾が中国を示す「cn」が多いことなどから、「中国マフィアと日本国内で活動する中国人の犯罪グループが結託している可能性がある」と指摘する。

警察庁は昨年3月に公表した資料で、フィッシングを組織的に行う中国人グループが日本国内で活動していると指摘していた。

資料によると、中国人グループが、匿名性の高いSNSなどを通じて中間的役割を担う指示役や商品購入役を募集したうえで、フィッシングで認証情報などを窃取してスマートフォン決済サービスやクレジットカード情報を悪用して商品を不正購入。

購入した商品の運搬や転売による換金も分担しているという。

「警察と証券取引等監視委員会は、証券口座乗っ取りについて不正アクセス禁止法違反の疑い、株価を吊り上げた相場操縦について金融商品取引法違反の疑いで捜査を進めているが、実態解明のためには、中国の捜査当局との連携が不可欠。時間を要しそうです」(事件ライター)