内閣支持率低迷で自公国連立実現に画策 参院選の目玉公約は「消費税減税」

石破茂 (C)週刊実話Web
トランプ米大統領が世界中に衝撃を与える相互関税を発動し、日本は国難とも呼ばれる事態となった。石破首相はここを乗り切れば夏の参院選へのアピールになるが、対米交渉に行き詰まれば石破政権はいよいよ窮地に陥る。首相は最大の正念場を迎えた――(全3回中の2回)

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自公国連立実現に向けて着々と距離を縮めている

「石破茂首相と斉藤鉄夫公明党代表は当然のことながら、参院選後の連立拡大をにらんでいる。国民民主党を交えた3党が対策に関われば、連立の流れは強まる」(自民党関係者)

ネックになるのは、立憲民主党と国民民主の共闘を訴える連合の芳野友子会長の存在だ。

しかし、連合との接触を進める中で、芳野氏が、産別の電機連合出身の元参院議員でありながら、岸田政権で首相補佐官に就いた矢田稚子氏に強い不快感を持っていることが分かった。

そこで2月下旬、森山裕自民党幹事長を通じて矢田氏の交代方針を伝えたところ、3月9日の自民党大会に芳野氏が出席することが決まったという。

この延長線上で4月14日に、時の首相と連合会長が意見を交わす「政労会見」が16年ぶりに実現。メーデー大会への石破首相の出席も決まった。

自公国連立実現に向けて着々と距離を縮めていると言っていい。

消費税減税が参院選における「最大の目玉公約」

「首相は食料品に掛かる消費税率を8%から5%に引き下げようと本気で考えている。自民党内に反対意見は根強いが、減税による減収額は2兆円ほどなので、何とかなると算段している」(政界関係者)

この関係者によると、消費税減税方針も首相と斉藤氏との会談で一致。4月15日には官邸の裏口から森山氏と、小野寺五典政調会長を密かに入れ、減税を渋る森山氏を説得。「総理がそこまで言うなら」との一言を取り付けた。

消費税減税は国民民主が訴えてきた政策でもある。

首相は、この流れで5月の連休明け以降、自公国協議を本格化させて6月の骨太方針で消費税減税を打ち出し、参院選における「最大の目玉公約」にしたい考えだという。

だが、これだけのことを画策しても、政権の延命につながるかは見通せない。

報道各社による世論調査での内閣支持率は30%前後で、不支持率は50~60%台となっているなど低迷した状態が続く。

不支持率が支持率を大きく上回る状況から巻き返し、政権維持に成功した例は過去30年、ほとんどない。

岸田文雄前首相も菅義偉元首相も、手を尽くして政権浮揚に努めたが、結局は退陣を余儀なくされた。

しかも、自民党内には石破首相への反発が、旧安倍派議員を中心に強く残る。

非主流派に転じた麻生太郎最高顧問や茂木敏充前幹事長も、首相の政権運営を快く思っていないのは、永田町の常識と言っていい。

「週刊実話」5月8・15日号より

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(4月28日18時公開)