“ポスト石破”は林芳正官房長官か「揺れる自民党」参院選がターニングポイントに

石破茂 (C)週刊実話Web
トランプ米大統領が世界中に衝撃を与える相互関税を発動し、日本は国難とも呼ばれる事態となった。石破首相はここを乗り切れば夏の参院選へのアピールになるが、対米交渉に行き詰まれば石破政権はいよいよ窮地に陥る。首相は最大の正念場を迎えた――(全3回中の3回)

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処分期間を終えた旧安倍派が逆襲

安倍晋三元首相に近かった高市早苗元総務相や、小林鷹之元経済安全保障担当相らは石破首相批判を繰り返しており、政治資金裏金事件に絡む処分期間を4月3日に終えた、旧安倍派の萩生田光一元経産相が復帰したことで、状況次第では「石破おろし」への動きが顕在化しかねない。

萩生田氏に近い党中堅議員によると、「反石破勢力は減税を強く訴えようとしている。財政再建派を刺激すれば党内対立が強まるだけでなく、首相と森山氏との溝が深まる。世論のポピュリズム批判も大きくなるので、逆に首相は減税に二の足を踏むという計算だ」とみている。

「その結果、参院選で大敗すれば首相は辞めるしかない。そのときにこそ、こちらの勢力で自公国連立を進めて消費税を減税する。国民民主の玉木雄一郎代表も石破首相を見限っているはずだ」(同)

そして、岸田政権でそれこそ自公国連立を模索した麻生、茂木両氏との連携も目指すという。

石破首相にとって気掛かりなのは、こうした動きだけではない。

実は、足元の林芳正官房長官も虎視眈々と「首相の失脚を待っている」とみる向きは自民党内に少なくない。

林氏は旧岸田派(旧宏池会)出身で従来から首相とは距離があり、官邸では「外様扱い」になっている。

首相の政権運営には日頃から不満があり、特に今回、赤沢氏が対米交渉の担当者になったことには、周囲に「『赤沢氏にそんな能力はない』と不快感を示した」(政府消息筋)という。

首相の後釜は林官房長官か

「首相が辞任すれば、後継の最有力候補は、高市氏ではなく林氏だ。そのときが来れば、事実上の『林派』となっている旧岸田派のメンバーが動いて足場を固める」

旧宏池会のベテラン議員は語気を強めて続ける。

「今回の対米交渉における事実上の司令塔は林氏だ。林氏の下には財務、外務、経産各省の精鋭をそろえた40人規模のタスクフォースが実際の交渉戦略を練っている。政権の重心がどこにあるのか一目瞭然だ」

それを裏付けるかのように、官邸の官房長官室にはひっきりなしに霞が関の役人が入るが、首相の執務室には定時報告ばかり。

政権が発足して半年が過ぎたが、依然として首相補佐官や秘書官同士の連携が取れておらず「チームとして機能していないので、勢いの差は明らか」(前出・政府関係者)だという。

石破首相はどう出るのか。

消費税減税と自公国路線に活路を見出し、正面突破を図るのか。それとも、何の成果も上げられないまま参院選を迎え、自滅するのか。

この1カ月で、ある程度の成否が見えてくるのは間違いない。

「週刊実話」5月8・15日号より