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山口組分裂抗争――資金源の闇…新型コロナと東京五輪の影響

山口組分裂抗争――資金源の闇…新型コロナと東京五輪の影響
(C)週刊実話Web

「抗争には金が掛かる。人員に限らず、それなりの体力がなければ戦い続けるのは難しいはずだ」

山口組の分裂抗争について、ある関東の他団体幹部はこう経済面に触れた。

「事を構えて県外から応援要員を呼んだ場合、組員たちの移動費から朝、昼、晩の飯代が出ていく。それも100人単位になるときもあるだろうし、期間だって1日や2日の話じゃない。軍資金をどこが出すのかは組織や地域によって違うだろうが、結構な金が出ていくのは間違いない」(同)

また、敵対組織と衝突したのちにも、同様のことが言えるという。

「逮捕者が出たら弁護士を付けて、さらに裁判になれば、その裁判費用も掛かってくる。昔に比べて驚くほど弁護士代が上がっていて、相手によっては不起訴になると成功報酬を支払うこともある。組員が抗争で懲役に行ったなら、今度は組員の家族の面倒も見ることになる。体を賭けた人間には当然のケアだから、懲役ごとに金も出ていく」(同)

潤沢な資金あってこその抗争といえるが、昨今の新型コロナ感染拡大によって、ヤクザの懐事情にも異変が生じているという。

「我々の世界は一般社会と表裏一体。コロナでカタギの商売に打撃が出れば、こっちへの影響は避けられないよ。実際問題、飯が食えないと言っている仲間は多い。マスクも検査キットも瞬間的には利益があったかもしれないが、すぐに供給が追いついてしまった。今儲かるとしたら、コロナ禍で需要が増えたテイクアウト系かアウトドア系くらいか」(別の他団体幹部)

六代目山口組と神戸山口組の構成員数の変遷

この問題は、飲食店などから〝カスリ〟を取る末端組員に限らないという。

「不動産を持っていたとしても、テナントが続々廃業して家賃収入がなくなったりするからね。開店休業状態のところにも、家賃を下げるなり支払い期限を猶予するなりしていると聞く。だって、苦しいところに金を払えなんて、任俠道に反するでしょ」(同)

ただ、新型コロナによって、一概に低迷したとはいえないようだ。

「シノギもさまざまやから、畑違いで儲かるところも一部はあると思うで。東京オリンピックかて、直接的に関わっていないにしても、影響はゼロやないはずや」(関西の組織関係者)

警察庁がまとめた六代目山口組と神戸山口組の構成員数の変遷によれば、神戸側は平成27年末で2800人だったのが、令和2年末で1200人。これには、すでに脱退した五代目山健組なども含まれるため、実際には1200人を下回っているとみられる。一方、六代目側も減少の一途をたどっているが、中核組織である弘道会は他の直系組織と傾向が異なるという。

「弘道会も組員数が減っているのは間違いないが、野内正博若頭の野内組や松山猛統括委員長の十代目稲葉地一家は、移籍などによって人を増やしてきた。その増減を合わせると、緩やかな減少傾向にあるといえ、六代目山口組の中で弘道会勢が占める割合は変わらず高いだろう」(業界ジャーナリスト)

弘道会の組織力を危惧する警察当局は、最高幹部らの逮捕を繰り返し、〝資金源〟封鎖に乗り出してきた。

若頭補佐である南正毅・三代目髙山組組長がミカジメ料に関する愛知県暴排条例違反の罪で服役すると、その右腕である髙山組若頭の石原道明・三代目矢嶋総業組長も、同様の事件で逮捕、起訴。髙山組のワンツーを社会不在としたのだ。

当局の狙いは“資金源”にとどまらず…

「警察がコロナ禍の逮捕案件で力を入れたのは、感染拡大で影響を受けた事業者に支払われる持続化給付金の不正受給でした。暴力団員は給付対象ではないため、詐欺容疑での組員逮捕が相次いだのです」(全国紙社会部記者)

組織の資金源になるという可能性を視野に、当局は捜査に乗り出したようだが、一部の組織関係者らからは疑問の声も上がった。

「不正受給がいかんのは重々分かっとる。ここぞとばかりにヤクザを洗う(調べる)いうんが解せんのや。ワシらかて家族を養わなけりゃならんし、苦しい現状はカタギと同じなんやで」(前出・関西の組織関係者)

当局の狙いは〝資金源〟にとどまらず、拠点の排除にも及んでいる。

地域住民の安全確保を掲げた組事務所の使用差し止め請求の多くは、住民に代わって暴追センターが訴えを起こしたもので、警察主導といわれる。直近では、静岡県富士宮市にある良知二代目政竜会(竹嶋利王会長)の本部に対する使用差し止めの仮処分を、静岡地裁が決定(5月12日付)。県内での決定は初めてのことだった。

「警察も躍起になっとるんやろ。神戸山口組でも特定抗争指定の警戒区域内にある二代目宅見組(入江禎組長=大阪中央)本部への仮処分決定を、大阪地裁が2月に出しとる」(地元記者)

また、5月24日には六代目山口組直系組長の高木康男舎弟(六代目清水一家総長=静岡)が、静岡県警によって逮捕された。容疑は組事務所に本店を構える株式会社に関して、虚偽の登記を行ったとする電磁的公正証書原本不実記録・同供用などで、ここにも当局の思惑がうかがえた。今後、闘いの激化が予想される。

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