南海トラフ地震は「超巨大かもしれない」富士山が刺激されて噴火する最悪シナリオ

画像はAIで生成したイメージ
南海トラフ巨大地震について、国の有識者会議は3月31日、最悪の場合は直接死が29万8000人、全壊・焼失建物が235万棟に上るとする新たな被害想定を公表した。

2012年、’13年の前回想定では、それぞれ32万3000人、238万6000棟とされていた。政府は’23年度末までに死者を8割、全壊・焼失建物を5割減少させる目標を立てたが、いずれも1割にも満たない減少にとどまった。

また、気象庁が富士山噴火に絡んで「火山灰警報」を導入するという。

国民にとっては、目前に迫った南海トラフ巨大地震の方が脅威だが、厄介なことに南海トラフ地震に刺激された富士山が噴火を引き起こす可能性が高いというのだ。

南海トラフ地震と富士山の噴火。古来より、2つの大災害が重なることは度々あった。

一例を挙げるなら、江戸時代の宝永地震と宝永噴火である。

「1707年に南海トラフを震源とする宝永地震が発生しました。マグニチュード8.7といわれ、地震の規模が示す通り最大級の巨大地震でした。しかし、天変地異はそれでは済まず、その49日後に今度は富士山が噴火した。降灰は江戸の街にまで及んだのです」(サイエンスライター)

ちなみに、この宝永噴火は記録が残る富士山の10回の噴火の中でも最大のものだったという。

宝永地震は東海地震と東南海地震、南海地震がほぼ同時に発生したもので、震源域は南海トラフの全域にわたり、幕末の安政東海地震(M8.4)と32時間後に発生した安政南海地震(M8.4)と比べると一回り大きい。

「終戦前後に発生した南海トラフ地震である昭和東南海地震(M7.9)、昭和南海地震(M8.0)も共に小ぶりで、それだけに今度発生するのは超巨大になるかもしれないといわれています」(地震学者・島村英紀氏)