“玉木首相”夏の参院選後に誕生か 自民党内にも広がる消費税減税を求める声

参院選では消費税減税が争点に

3月28日の参院予算委員会では「一概に否定する気は全くないが、そういうことの検証を少しやらせてほしい」「物価高対策の一つの対応として考えられないことではないが、少し時間の掛かることなので、若干の時間の猶予をたまわりたい」と述べ、実施に含みを残した。

全国紙政治部記者はこう語る。

「この答弁に焦ったのが財務省です。必死に巻き返しを図りました。結果、石破首相は4月1日の会見で『消費税は全世代型社会保障を支える重要な財源です。税率の引き下げということは適当ではない』と、それまでの発言をひっくり返した。ただ、石破首相は諦めていません。周囲には『食料品などの軽減税率を引き下げるのはありだ。政権を失うより安いもんだ』と漏らしています」

消費税は社会保障費の財源となっており、少子高齢化でこれからますます社会保障費が膨れ上がる中、消費税率の引き下げは禁断の政策といえる。

それでも首相が諦めていないのは、メリットが少なくとも3つあるからだ。

消費税率の引き下げ3つのメリット

1つは、消費税減税が争点化するのを回避できるという点だ。国民民主は消費税を5%に引き下げる政策を掲げており、れいわは消費税廃止を訴えている。

いまや永田町で最も勢いのある両党の存在は自民にとって大きい。消費税減税をやらなければ、参院選で争点になる。それを避けたいのが本音だ。

2つ目は消費税減税を共通政策にすることで、自民、公明、国民民主の連立政権を樹立できるかもしれないという期待感である。

所得税が掛かり始める「年収103万円の壁」を巡り、自民と国民民主には溝が深まっている。

少数与党であるが故に「ギクシャクした関係を早期に改善し、参院選後に連立を組み安定政権にしていくべきだ」(自民幹部)との声は根強い。

この幹部がその先に見据えているのは「玉木雄一郎首相誕生」だ。

国民民主は103万円を178万円に引き上げることを与党に突き付けたが、実現できなかった。

国民民主関係者は「実現させるには代表の玉木氏が首相になるしかない」と話す。

3つ目は消費税減税がクローズアップされれば、立憲の分裂を誘発する可能性があるという点だ。