東日本大震災の震源・日本海溝が再始動…高まる「首都直下地震」「南海トラフ巨大地震」発生の可能性



南海トラフ地震が首都直下地震を誘発

ちなみに、この砂は西暦800~1300年にかけて堆積したとみられており、房総半島沖の太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界でM8.5以上の巨大地震が発生した可能性があるという。

これだけ聞くと巨大地震が起きたのは遠い昔の話で、現代の地震活動とは関係がないようにもみえるが、大地震は数百年周期で繰り返し発生しており、そもそも東日本大震災自体が1100年以上前の「貞観地震」(869年)の“再来”ともみられているのだ。

地震学者の島村英紀氏がこう語る。

「東日本大震災の震源域に割れ残りがあるのは事実です。それがまた大きな地震につながる可能性は否めない。注意を喚起したいが、ただ地震の発生がいつになるかが分からないのです」

もっとも、恐ろしいのはこの東日本大震災の割れ残りだけではない。

近年、南海トラフ地震の30年以内の発生率が70%から80%に引き上げられたが、“もはや待ったなし”とも伝えられるこの巨大地震が起きた場合、東海から四国、九州沿岸部にかけて10~20メートルもの大津波が発生。死者32万人、倒壊家屋238万棟の壊滅的な被害が出ることが予想されているからだ。

しかも、この大地震はさらなる被害をもたらす可能性も指摘されている。

「安政南海トラフ地震(M8.4)が発生した翌年の1855年に江戸の町は安政江戸地震(M6.9)と呼ばれる首都直下地震に襲われているんですよ」(サイエンスライター)

巨大地震が新たな地震を引き起こすことはままあるが、要は、南海トラフ地震が首都直下地震を誘発したのである。

防災ライターの渡辺実氏は、「南海トラフ地震が海溝型地震であるのに対して、首都直下地震は内陸直下型地震。地震の種類が異なるので本来は連動することはない。1855年に連動したのは地震の活動期と重なり、たまたまだと思います」と語るが、次なる巨大地震の発生時にこれが繰り返されない保証はない。