観客があ然! 奇抜な決まり手で度肝を抜き続けた「技のデパート」舞の海、宇良の“華麗なる闘魂”【平成大相撲伝説の名勝負3】

相撲のぼり (C)週刊実話Web
3月9日から「大相撲春場所」(大阪市・エディオンアリーナ大阪)が始まるが、初土俵から最速で大関昇進を遂げた大の里、元横綱の祖父を持ち昨年の九州場所を優勝で飾った大関琴桜、今年初場所の優勝決定巴戦を制し、横綱に上り詰めた豊昇龍など、新たなスターが登場したことで空前の「令和大相撲ブーム」が起きている。

そこで今回は、平成大相撲の中からファンの度肝を抜いた伝説の取組をプレイバック! 土俵上で繰り広げられた熱い力と技のぶつかり合いをご堪能あれ。

【関連】稀勢の里は“大逆転劇”の代名詞 ケガに耐えて奇跡の優勝、白鵬の連勝記録に待った【平成大相撲伝説の名勝負2】

―――――――――――――――
相手の攻めを真正面から受け止めるのが横綱相撲の真骨頂だが、多彩な技を繰り出し勝利をもぎ取る技巧派力士の戦いもファンを沸かせる勝負の一つ。特に大番狂わせの「小が大を制す」対戦となればなおさらだ。

現役時代、「技のデパート」「平成の牛若丸」と呼ばれた舞の海は、まさにその最右翼。出羽海部屋に入門する際、手術でシリコンを頭に埋めて身長をごまかし合格したエピソードは有名だが、その角界きっての「小兵」が魅せた衝撃的な取組が1991年(平成3年)九州場所の11日目に行われた、初顔合わせとなる曙戦だった。

「対戦時、2人はともに平幕だったが、身長169センチ、体重97キロの舞の海に対し曙は身長2メートル3センチ、体重も200キロ超え。まさに子供と大人ほどの対格差があった。しかも、当時曙は角界でもその体格が注目されていたため、舞の海4勝6敗、曙5勝5敗で迎えたこの取組は、相撲ファンの大半が曙の圧勝に終わると予想していたのです」(大手紙相撲担当記者)

ところが、行司の「はっけよい!」の掛け声とともに取組が始まると、舞の海はすぐさましゃがみ込み、相手の懐に入って左下手でまわしをつかむと猛然と内掛けを繰り出した。

押され気味の曙はこれをかわし右上手でまわしを取るが、左足を取った舞の海に二度目の内掛けを繰り出され、土俵にくずおれたのである。

決まり手は片足を内掛けで攻め、もう片方の足を手ですくう珍しい相撲技「三所攻め」かと思われたが、内掛けの判定。ただ、この後、三所攻めはここ一番で繰り出される舞の海の“必殺技”となっていった。

この一番の活躍もあり、舞の海は九州場所で2場所連続の技能賞を獲得したのである。

舞の海にも引けを取らない技巧派として知られるのが現役力士の宇良だ。