稀勢の里は“大逆転劇”の代名詞 ケガに耐えて奇跡の優勝、白鵬の連勝記録に待った【平成大相撲伝説の名勝負2】

相撲のぼり (C)週刊実話Web
3月9日から「大相撲春場所」(大阪市・エディオンアリーナ大阪)が始まるが、初土俵から最速で大関昇進を遂げた大の里、元横綱の祖父を持ち昨年の九州場所を優勝で飾った大関琴桜、今年初場所の優勝決定巴戦を制し、横綱に上り詰めた豊昇龍など、新たなスターが登場したことで空前の「令和大相撲ブーム」が起きている。

今回は、平成大相撲の中からファンの度肝を抜いた伝説の取組をプレイバック! 土俵上で繰り広げられた熱い力と技のぶつかり合いをご堪能あれ。

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観客を熱狂させる勝負の一つに“逆転劇”が存在するが、数ある「平成の名勝負」の中でも“奇跡の大逆転”と形容されるのが、今年の初場所で横綱引退を表明した照ノ富士を下し、2017年(平成29年)の春場所を制した横綱稀勢の里の優勝だろう。

同年初場所で優勝した稀勢の里は日本人力士として19年ぶりの横綱に昇進。横綱として最初の場所となった春場所は初日から格下勢をまったく寄せつけず12連勝と好調だった。

ところが、13日目に横綱日馬富士の寄り倒しを受けて土俵下に転落。左胸などに大けがを負って休場が危ぶまれる中、横綱の重責をまっとうするため、翌日以降もテーピングをして強行出場したのである。

「けがの状態は相当深刻で14日目の鶴竜戦では一方的に寄り切られ、1敗で並んでいた大関照ノ富士に逆転を許すことに。また、千秋楽は左の二の腕が内出血で黒ずむ中、単独トップの照ノ富士戦に臨むことになり、誰もが稀勢の里の敗北を予想したほどだったのです」(大手紙相撲担当記者)

しかし、千秋楽の土俵に上がった稀勢の里は照ノ富士を突き落として2敗で並び、優勝決定戦ではもろ手突きに耐え、捨て身の小手投げで両者ともに土俵下に落ちたが、軍配が稀勢の里に上がり見事賜杯を手にしたのだ。

「19年ぶりの日本人横綱を応戦するファンの期待に応えた稀勢の里は、この劇的な逆転で、1995年初場所の貴乃花以来22年ぶり史上9人目の新横綱昇進場所での優勝を手にした。そのため表彰式では大粒の涙を流したが、この故障が尾を引き以後8場所連続休場、もがき続ける日々が続いたのです」(スポーツ紙担当記者)

もっとも、稀勢の里が見せた劇的な名勝負はこれだけではない。