観客があ然! 奇抜な決まり手で度肝を抜き続けた「技のデパート」舞の海、宇良の“華麗なる闘魂”【平成大相撲伝説の名勝負3】

映画『マトリックス』のような決まり手

こちらは身長175センチ、体重139キロと小兵ではないが、小学3年生から習っていたレスリングで全国2位になったこともある猛者。その経験と類まれな体幹を生かした珍しい技を繰り出すことから、「アクロバット相撲」の異名を取っていることはよく知られている。

その数ある宇良の取組の中でも、最も話題を呼んだのが2017年(平成29年)初場所13日目の天風戦だろう。

東十両3枚目の宇良はこの日まで9勝3敗の成績、対する西十両9枚目の天風は8勝4敗。宇良は立ち合いで頭を下げて相手にぶつかり左を差されたが、体を右にひねるように相手の左脇下をすり抜けて反らせたことで、天風がダイブするように土俵に転がった。

決まり手は「たすき反り」。歴史上一度しか出ていない珍妙な決まり手に観客たちは一瞬ポカーン、その後拍手とどよめきが会場を包み込んだのである。

「この取組をメディアは映画『マトリックス』のような異次元の動きと書き立てた。また、宇良は2020年の九州場所では旭秀鵬を相手に居反り(=腰を低く落とし、相手が上にのしかかるようにしてきたときに、両手でひざのあたりを抱えるか、押し上げて後ろに反って相手を倒す技)を、2022年秋場所の宝富士戦と2024年初場所千秋楽の竜電戦では伝え反り(=相手の脇の下をくぐりながら、自分の体を後ろに反らせて相手を倒す技)を繰り出し勝利しています」(同)

今では“業師”とも呼ばれている宇良だけに、今後も珍妙な名勝負でファンを沸かしてくれそうだ。

文/週刊実話Web編集部