「好きな人は何があっても買う」愛好家をひきつけてやまない“南米音楽の深み”を稀代の専門店オーナーが熱弁!

『大洋レコード』伊藤亮介オーナー
ブラジル、アルゼンチンなどのポピュラー音楽を中心に、CDを直輸入販売している『大洋レコード』オーナー・伊藤亮介氏のインタビュー後編。さらにディープな南米音楽の魅力を語る。

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「ゆくぞ大洋、ゆくぞ大洋、勝利の世界ゴゴゴーゴー♪」

横浜西口にあるライブハウス・mint hall。ステージ上で白いギターを奏でながら『ゆくぞ大洋』をボサノヴァ風に歌いあげる大洋レコード店主の伊藤亮介は、満員の観客からの万雷の拍手に応える。

そう、伊藤はミュージシャンでもあった。

「バンドは高校の頃からずっとやっていて、プロ志望でした。渋谷系のバンドで、オーディションを受けてね。箸にも棒にも掛からなかったけど、ブラジル音楽に衝撃を受けてからはボサノヴァのコードを取り入れたり、クラシックギターを使っていると聞けば、いろいろ買って試してみたりしてね」

プロにこそなれなかった伊藤だが、その後もプレーヤーとして音楽活動を続けたことが今の仕事をやる上でも大きかったと振り返る。

「音楽って、好きな人がたくさんいるし、嗜好も評価も評論の仕方もさまざま。ただね、周りを見ると喧嘩ばっかりしている。SNSとかひどいもんですよ。なんなんだろう、この持論を押し付け合うような、醜い争いの世界は。音楽はもっと自由でいいはずなのにね。だいたい、評論家の人たちは頭でっかちで、楽器演奏をちゃんとできる人はそういない。自分はそうなりたくない。ブラジルのギターは、打楽器のパンデイロはどうやって弾いているのか。取り寄せて、自分で弾いてみる。体験すれば、お客さんに紹介するときも、商品レビューを書くときも、いろんな違った視点で推薦することができるじゃないですか」