トランプ2.0に冷や水を浴びせた中国発生成AI「DeepSeek」天安門事件、台湾問題…微妙な質問には「申し訳ありません」



中国で英雄扱いされる天才開発者

「中国技術産業の希望」になった2023年頃の梁文峰氏(下)。成功でイケメンに激変(中国のSNSより)
DeepSeekを開発したのは、1985年に中国・広東省湛江市で生まれた梁文峰(リャン・ウェンフォン)氏(現在39歳)。彼は、AIを活用した株式取引で成功し、その資金を使って若い才能を積極的に採用。短期間で高性能なAIを作り上げた。

特に注目されるのは、DeepSeekの「オープンソース」という特徴だ。

通常、AI技術は企業が独占し、外部には公開しないことが多い。

ところがDeepSeekは誰でも自由に使え、改良や再配布も可能な仕組みになっている。

これが世界中の技術者に支持され、多くのユーザーが注目する理由となっている。

また、梁氏は中国メディアのインタビューで、次のような発言をしている。

「中国のAIは、いつまでもアメリカの後を追い続けるわけにはいかない」

「OpenAIは技術を独占しているが、それが競争を止めることにはならない」

「アメリカとの差は1~2年と言われているが、本当に重要なのは独創性だ」

「オープンソースは単なるビジネスモデルではなく、文化そのものだ」

「私の目標は、世界で最も難しい問題を解決し、AGI(汎用人工知能)を実現することだ」

中国のSNSでは、国際数学オリンピックの表彰式の写真が拡散されており、そこには多くのアジア系学生が受賞している様子が映し出されている。

これは、中国の技術力の向上を象徴するものとして話題になっている。

中国のSNS上で拡散している国際数学オリンピック表彰式と思われる画像。上下に並ぶ国旗もさることながら、受賞者の大半が中国人をはじめとするアジア系の学生が多い
 一方で、DeepSeekには懸念される点もある。

現在、DeepSeekを利用する際には、アカウントの登録情報、IPアドレス(インターネット上の位置情報)、デバイス情報、ネットワーク接続情報などが収集され、中国のサーバーに保存される仕組みだ。

プライバシーポリシーには、「収集したデータは、中国国内の安全なサーバーに保存する」と明記されており、これが「情報セキュリティ上のリスクではないか?」という指摘も出ている。