トランプ2.0に冷や水を浴びせた中国発生成AI「DeepSeek」天安門事件、台湾問題…微妙な質問には「申し訳ありません」

2019年8月中国有力経済紙『中国証券報』の主催イベントに登壇したDeepSeek創設者の梁文峰氏(中国のSNSより)
中国で開発されたAI「DeepSeek(ディープシーク)」が、世界的に注目されている。

特にアメリカのAI市場に大きな影響を与え、1月27日にはアメリカのハイテク株が多いナスダック市場の株価指数が3%下落。さらに、アメリカの株価全体の時価総額が1兆ドル(約154兆円)以上も減少し、半導体の大手企業「エヌビディア」の時価総額も約5900億ドル(約91兆円)も吹き飛んだ。

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この影響の大きさは、日本の国家予算(2024年度の一般会計:約112兆円)を超える規模で、「DeepSeekショック」として世界が注目している。

DeepSeekがこれほど注目される理由は、「低コストで高性能」という点にある。

最新の高価な半導体を使わなくても動作し、開発コストは従来の5%以下。それなのに、アメリカの有名AI企業「OpenAI(オープンAI)」の最新モデル「GPT-4」と同じレベルの文章作成能力や推論力を持っていると言われている。

この状況に困惑しているのが、1週間で30以上の大統領令に署名したばかりのトランプ前大統領だ。

DeepSeekのリリース日は、ちょうどトランプ氏の就任式と重なっただけでなく、日本のソフトバンクグループの孫正義氏が計画していたAI関連プロジェクト「スターゲート」にも影響を与えている。

このプロジェクトは、今後4年間で5000億ドル(約78兆円)もの巨額の投資を予定しているが、DeepSeekの登場によって計画の見直しを迫られるかもしれない。

一方で、技術者たちの間ではDeepSeekの評価は高く、称賛の声が目立つ。

例えば、元マイクロソフトの伝説的なエンジニアである中島聡氏は、自身のメルマガで「素晴らしいとしか言いようがない」と絶賛。中島氏はWindows 95の開発に携わった技術者で「AIの進化によって、知的な仕事のコストがほぼゼロになる時代が来ている」と語るほど。

実際、AppleのApp Store(アプリストア)では、DeepSeekがOpenAIの「ChatGPT」を抜き、ランキング1位を獲得した。