「親が親なら子も子」 中国ゲーム依存対策の裏側と旧正月(春節)訪日客の意外な“お目当て”

中国のネットカフェ(インターネットバー、網吧)はゲーム利用が中心(中国SNSより)
2025年1月9日、中国のIT大手『Tencent』と『NetEase』が未成年者向けの「2025年冬休みゲーム時間制限カレンダー」を発表した。

未成年者のプレイ時間は特定の日に1時間ずつ、合計15~16時間に制限され、旧正月(春節)の8日間(1月28日~2月4日)は合計8時間のプレイが許可される仕組みとなっている。

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この規制の背景には、「子供はゲームではなく勉学に励むべき」という単純な目的だけでなく、社会問題としてのゲーム依存や廃課金が存在している。

この措置は、過度なゲーム依存を防ぎ、他の活動に時間を充てさせることを目的としている。

顔認証や身分証明を活用したプレイ時間管理システム、課金制限、AIによる不正検出などが導入されており、特に未成年者向けの規制が強化されている。

一方で、親のアカウントを使ったり、VPNを用いて海外サーバーに接続したりといった抜け道も存在する。

ただし、顔認証や身分証明の精度が向上しているため、不正行為はすぐに発覚するケースが増加している。

2024年6月、中国では『未成年者オンラインゲームサービス消費管理要求』が施行された。

未成年者の課金管理や返金規定について初めて明確に規定したもので、ゲーム依存対策が発動した。

中国では未成年者の人口が約2億7000万人(2020年)に達する一方、日本の未成年者は約1500万人(2022年時点)と、中国の規模は日本の18倍に及ぶ。

この膨大な人口に加え、一人っ子政策下で育った「小皇帝」や「小皇后」と呼ばれる世代が親となり、子供の課金問題が深刻化している。

例えば――中国語でネット検索すると、テレビや新聞、ネットなどで以下のようなニュースが山ほどヒットする。

・山東省の9歳児が2日間で20万円を課金

・大連市の11歳児が祖父の治療費80万円を使い込む

・河南省の14歳児が父親のがん治療費160万円を消費

・河南省の10歳と11歳の兄弟が祖母を騙して440万円を課金

・河南省の13歳少女が5カ月で約890万円を消費

こうした背景から、法的規制の強化は避けられない状況にあったといえる。
中国のネットカフェは高性能なゲーミングPCを揃え、大型モニターやゲーミングチェアが設置されている施設が一般的。ネットカフェ利用者の70~80%がゲーム目的で訪れているとされる。『League of Legends(LoL)』や『Honor of Kings(王者荣耀)』などが人気。(中国SNSより)