「親が親なら子も子」 中国ゲーム依存対策の裏側と旧正月(春節)訪日客の意外な“お目当て”



悪質な返金詐欺も横行中

日本のネットカフェの軽食も紹介する中国のSNS
かつての香港を見ているようだと香港紙記者が解説してくれた。

「かつて香港におけるインターネット規制が緩かった2020年前までは、中国から訪れた本土人があの手この手でネット規制を突破して、人民元を香港ドルに換金しようとしていました。その舞台がネットカフェでした。ゲーム会社の過失責任については、整備を義務づけられたゲーム会社には気の毒ですが、中国人同士で解決してもらうしかない。返金を認められたケースの経験談が、すでにネット上でたくさん共有されており、親自身が廃課金したくせに、子供のせいにして返金を求める悪質な詐欺事件も報じられているからです。いずれにせよネット上の金銭のやり取りは、マネーロンダリングの温床になりやすいので、当局の重点監視対象になっています。上に政策あれば下に対策ありを地でいく親が親なら子も子です。そう簡単に変わりません」(香港経済紙記者)

こんな話を聞くと、ゲーム条例の施行から5年近く経った香川県の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(2020年施行)が牧歌的に見えてくる。

・平日1日60分、休日1日90分のゲーム利用推奨

・18歳未満の夜間利用禁止(午後10時以降)

これらあくまで努力義務であり、ユーザ側にもゲーム会社側にも罰則規定はない。

また、あくまで家庭内でのルール作りの促進を主な目的としている。

2023年には「ゲーム依存症」という表現が「ゲーム行動症」に変更されるなど、取り組みは緩やかである。

しかし、いずれの方法にも限界が存在し、問題の根本的な解決には、親と子供、社会、そして企業の三位一体の取り組みが欠かせない。

ゲームという「現代の遊び場」におけるルール作りは、単なる規制の強化ではなく、テクノロジーと教育、そして倫理観のバランスが求められる課題と言えるだろう。

取材・文/ROADSIDERS 路遍社