「審判は奥が深い!」審判写真家・林直樹が凄まじい知識量と瞬間的なジャッジ力、観衆にアピールする表現力の真髄を激白



審判は動き一つ取っても見るべき技の宝庫

「僕はこれで儲けるつもりは一切ありませんし、プロの写真家になろうという気もさらさらありません。じゃあ動機は何かと言われたら、やっぱり、審判という陰に隠れがちな存在に光を当てたい。あんな凄い人たちなのに、選手やファンから叩かれることはあっても褒められない。報われないじゃないですか。審判の判断一つ、動き一つ取っても、見るべき技の宝庫です。僕の写真を通じて、もっと多くの人に審判の凄さを理解してもらうことは、僕の人生を懸ける理由としても十分すぎます。あとはいい写真が撮れて、それを審判の人たちに渡すと物凄く喜んでくれる。それだけでもやりがいですよね」

自分でもどうかしちゃっているのは十分承知。でも最初は不毛と思えた活動も、徐々に認めてくれる人たちが出始めてきた。

例えば現在の『審判写真家』という肩書も元審判員の山﨑夏生さんが17年のキャンプ時にそう呼んでくれたことが始まり。同審判員とは、今では毎年12月にトークショーを開催しているとか。

「今では多くの審判員の方に球場で会えば声を掛けてもらえるようになり、交流も増えました。それで知るんですが、彼らは職業上、グラウンドでは物凄く厳格に見えますが、普段は当たりの柔らかく優しい人が多いんです。つまり、トップを張れる審判は『皆に尊敬される人格者』という思想は、今の時代にも残るんじゃないかな。どこをどう切り取っても、魅力とシャッターチャンスは尽きませんから」

【林直樹(2)につづく】

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」1月2日号より