石破政権が“倒閣封じ”を画策「前門の玉木」「後門の小沢」を退ける3つの掃討作戦



水面下では維新の分裂を策謀

次は自民党会派の勢力拡大だった。

会派は自民党191人と、裏金事件を受けて衆院選で非公認となった萩生田光一元経済産業相や、離党した世耕弘成前党参院議員幹事長ら6人を加えて計197人。公明党の24人を足しても過半数の233には12人足りなかった。

そこで森山氏らが目を付けたのが、無所属議員の衆院会派「有志の会」の4人だ。

吉良州司、緒方林太郎、北神圭朗、福島伸享の各氏で、森山氏が個別に接触。森山氏に近い自民党中堅議員によると、福島氏を除く3人からは協力の意向が示され、決選投票で3人は「吉良州司」と記しての無効票を投じたという。

森山氏らが働き掛けようとしているのは有志の会だけではない。維新もそうだ。

維新は衆院選での議席減を受けた責任問題をめぐり内紛状態となっており、全国政党化の方針を堅持したい馬場伸幸代表に近い勢力と、純化路線に回帰しようとする大阪本隊との溝は深い。

「森山氏らはここに手を突っ込み、年末の離党を働き掛けている。首相も自ら親交のある前原誠司元外相に秋波を送っていると聞いている。うまくいけば10人ほどが離党し、新党結成に動くかもしれない。そうすれば、協力を呼びかけられる」(中堅議員)と、皮算用しているという。

さらに働き掛けのターゲットにあるのは、ナショナリズム色が強いとはいえ、3議席を確保している日本保守党だ。

もともと安倍晋三元首相の主義・主張に近く、百田尚樹代表は「首相を出してもいいのなら考えてもよい」と、政権協力を否定はしていない。

同党からの首相選出はあり得ないとはいえ、「日本人拉致問題での連携はできる」(同)として、実現の可能性を探るという。

「来年1月の通常国会開会までに陣容を整えられればベストだ。有志の会と維新の一部、日本保守党を加えれば、何とか過半数に届くかもしれない」

中堅議員は首相と森山氏の胸中をこう代弁する。