「少年隊の『仮面ライダー』です!」『NHK紅白歌合戦』伝説の言い間違いで猛批判を浴びた加山雄三の波乱すぎる人生譚



会社の倒産、大事故にも遭遇

しかし、70年に同ホテルの運営会社が倒産し、ホテル売却後も借金が残って、加山は巨額の負債を抱えてしまう。

しかも、翌年には『若大将』シリーズが、人気低下により終了。そのため一時期は、キャバレーやナイトクラブ回りで糊口をしのいでいた。

74年の正月休みには、妻と出かけた北海道のスキー場で、圧雪車に轢かれる大事故に見舞われた。

横向きに倒れたため、肩の骨折による1カ月の入院で済んだが、もしも仰向けで轢かれていれば内臓破裂で即死していたかもしれない。

それでも借金がある以上は働き続けなければならず、映画出演の機会が減った加山は活動の場をテレビにシフト。時代劇『江戸の旋風』シリーズ(フジテレビ系)やデンセンマンで一世を風靡した伝説のバラエティー番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』(NET系からテレビ朝日系)などにも出演した。

こうしたテレビスターとしての活躍もあって、86年からは3年連続で『NHK紅白歌合戦』の白組司会を担当した加山だが、ここでも大失態を犯してしまう。

86年に白組のトップバッターを務めた少年隊を紹介する際、あろうことか「張り切って行こうぜ! 紅白初出場、少年隊の『仮面ライダー』です!」とノリノリで言い放ってしまったのだ。

もちろん、正しい曲名は『仮面舞踏会』である。

大舞台での衝撃的な言い間違いは、年が明けた正月のお笑い番組などでも盛んに話題にされた。

加山はリハーサルのときから「まるで『仮面ライダー』みたいだな」とつぶやいていたそうだが、本番では間違ったことすら気づいておらず、スタッフに誤りを指摘されても「ああ、そうか」と鷹揚に答えただけだったという。