「ユー、今日、合宿所においで」…ジャニーズ性加害問題の第一人者が明かす“ジャニーズ崩壊”の真実

ジャニーに嫌われないことが何より重要

平本がジュニアの中で“トップスターの次”ぐらいのポジションを得られたのは、もちろんダンスなどの実力があってのことには違いないが、それに加えて、やはりジャニー喜多川に気に入られていたことが大きかった。

逆に言えば、いくら実力があり、ルックスに秀でていても、気に入られなければポジションは奪われる。

ジュニア全体の平均的な在籍期間は1~2年程度でしかなく、数日から数カ月で退所するケースも珍しくない。

芸能界入りの夢と希望を抱いて入所した少年が、ほんのわずかな期間で退所してしまうのは、もちろんそれなりの理由がある。

「ある日、突然『ユーはここで踊っちゃダメだよ、後ろに行きなさい』なんて言われるヤツがいて、そうするとジュニアの間ではすぐに『あいつ、ジャニーさんの誘いを拒否したからだよ』などと噂になった。だから、みんなジャニーに嫌われたら終わり、嫌われないようにしようと思っていた。自分の夢や希望をかなえるためには、この人の言うことをよく聞いて、嫌われないように頑張ることが何より重要だと認識していた」

かくいう平本も、ただ単にジャニーから気に入られていただけではなく、相応の被害を受けてきた。

レッスンが終わった後、ジャニーから「ユー、今日、合宿所においで」と声をかけられるのが、お決まりのコースだった。

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ジャニーズ崩壊の真実 命を懸けた35年の足跡
2024年9月13日(金)発売
本体1700円+消費税

■序章 まだ戦いは終わらない
・ストレスで満身創痍
・ジャニーズ事務所に「実質勝利」
■第1章 ジャニーズの実態
・ジャニー喜多川氏からの電話
・華やかな芸能界
・性被害の実態
■第2章 戦いの原点
・北公次氏の誘い
・全裸監督vsジャニーズ事務所
・北公次氏の反転~終息
■第3章 孤独な戦い
・出版社設立
・文春裁判
・BBCからのオファー
・ジャニー喜多川氏の死
・国連への手紙
■第4章 ジャニーズ消滅
・被害者の会設立
・交渉開始
・止まない誹謗中傷との戦い
■終章 補償の現状と未来
・人権と尊厳の回復のための戦い

平本淳也(ひらもと・じゅんや)
1966年6月14日生まれ。「ジャニーズ性加害問題当事者の会」元代表。ジャニーズ事務所に所属したタレントで作家。所属時には多くのステージを踏み、ドラマや映画、バラエティーなどで活躍。旧所属者たちと新生フォーリーブス、新・光GENJI、SHADOW(シャドー)を結成して性加害問題を提起した最初の実名告発者となる。ジャニーズ関連を含む書籍制作、著書は30冊以上。著作のほか記事や情報提供は無数にあり、メディア出演も多数こなしているジャニーズ性加害問題の第一人者である。

亀井誠(かめい・まこと)
1967年8月2日生まれ。三重県出身。早稲田大学卒業後、ナイタイ出版に入社。退社後はプロレス、格闘技をはじめ、芸能、社会風俗など幅広く取材するフリーライターとして活躍。著作に『プロレス、K1、PRIDE禁断のスキャンダル史』(日本文芸社)、『プロレスの悲劇』(オークラ出版)などがある。