「ユー、今日、合宿所においで」…ジャニーズ性加害問題の第一人者が明かす“ジャニーズ崩壊”の真実

ジャニー喜多川の審美眼はホンモノか?

それから2カ月ほどが経過した頃、ジャニー喜多川本人から自宅に電話がかかってきた。

ジャニーの「淳也くん? 遊びに来れる?」「レッスンにおいで」という誘いの言葉に、一も二もなく「はい!」と即答した平本は、次の日曜に当時のレッスン場があった東京・六本木へ、いそいそと出かけた。

このときまだ平本は知らなかったが、通常の場合、ジャニーズ事務所に入所する際は、書類での応募後にファミリークラブから「オーディションの案内」として郵送で返信がある。

そこに指定された日時と場所へ数十名の応募者たちが集まり、ダンス審査やジャニーによる軽い質疑によって、入所の可否が決定する。

このようなオーディションを経ることなく、ジャニーから直接電話が来るのは「相当に気に入られた」ということ。ジャニーの「一刻も早く会いたい」という意志のあらわれだった。

ちなみに、ジャニーは街中で直接スカウトを行うこともよくあって、初代ジャニーズら初期のタレントたちのほか、古いところでは川崎麻世や野村義男、東山紀之、諸星和己など、最近でもSnowManやSixTONESのメンバーで直接誘われたというケースが見られる。

ジャニーのスカウトで入所した者たちは、いわばエリートであり、実際にも大スターになることが多い。

ジャニーに将来の原石を見極める一種の審美眼があるというのは、多くの関係者が口にするところだが、それと同時に、お気に入りを一押しで売り出していった側面もあった。

「オーディションでもスカウトでも、選ばれる子のタイプはまちまちで、ジャニーが少年たちのどこに才能を見いだしていたのかは、当時も今もよく分からない。地方公演のときには、その土地のジュニア志望者を呼んで舞台に上げたりもしていたから、単にそのときの気分で相手を選んでいただけだろう」

そう平本は振り返るが、一方でジャニーに選ばれたからといって、必ずしもスターになると決まったわけではない。

性加害を受けただけで何も得られなかったという報告が、今も昔も平本のところへ多く寄せられている。