さすがの岸田首相も「心が折れるのは時間の問題」 総裁選“前倒し説”浮上



“壊し屋”小沢一郎氏も動く

一方、立憲民主党ではついに“あの男”が動き出した。

7月9日、同党所属の小沢一郎衆院議員が記者団に対し、こう発言したのだ。

「政権を取れるなら代表は誰でもいい。政権を取るための段階として、野党の共闘態勢を構築する執行部でなければダメだ」

ただ、“壊し屋”の異名を持つ小沢氏は「代表は誰でもいい」と言いながら、「泉氏を変えないと日本維新の会や国民民主党と話ができない」「泉氏だったらまたダメで、沈没じゃないか」などと、泉代表に退陣も求めたのである。

ここにきて小沢氏が泉おろしの号砲を鳴らしたのは、立憲民主党も9月に代表選を控えているからだが、その裏には政策論そっちのけの“怨念”が横たわっているともいわれている。

「2021年の代表選で小沢グループは結束して泉氏を支援したが、当選すると泉氏は小沢氏と距離を置き、支援の条件だった選挙対策幹部への就任も拒否したのです」(永田町関係者)

また、執行部人事を決める際も何の相談もなく、袖にしたため、小沢氏の側近らは「恩を仇で返す卑劣な仕打ち」と怒り心頭だった。

このときの恨みが今回の泉おろしにつながっているとみられるが、今やその声は党内に広がり、泉氏を支持する議員は少数派になりつつあるようだ。

前出の政治部記者が言う。

「党内には『4月の衆院3補選で全勝したのは泉氏の実績だ』とかばう声もあるが、『それ以外の選挙の多くで負けている』『リーダーシップもなく、政策通でもなく政権交代を狙う代表たり得ない』などの声の方が上回っている」

そのため、泉氏には代表選出馬に必要な20人の推薦人が集まらない可能性も指摘されている。

ちなみに目下、党内では野田佳彦元首相、枝野幸男前代表の代表選出馬が取り沙汰されているものの、この2人では「昔の名前で出ていますといった状態で、旧民主党時代の失態を思い出すだけ」(閣僚経験者)との声も少なくない。

また、泉降ろしの先頭を走る小沢氏が「誰を推すか」を明らかにしていない点も事態を混乱させているという。

「政治とカネ」をめぐる問題で攻勢を強める立憲民主党も人材不足が否めない状況だ。