(画像)Pam Walker/Shutterstock
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佐々木麟太郎、スタンフォード大学進学の舞台裏!日米のドラフト協定が崩壊 “黒幕”は花巻東の先輩だった

歴代最多の高校通算140本塁打を放ち、甲子園でも活躍した佐々木麟太郎は、昨秋のドラフトで「米大学留学」を理由にプロ志望届を提出しなかった。1位指名が確実の花形選手が、この理由でドラフトを拒んだのは史上初めて。しかも、佐々木は大谷翔平の花巻東高校の後輩。日米が受験結果を注視していたが、スタンフォード大に合格とは、ビックリ仰天だ。


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米国では「東海岸のハーバード(マサチューセッツ州)」、「西海岸のスタンフォード(カリフォルニア州)」と呼ばれる2大名門校。直近の世界大学ランキングでスタンフォードは2位。早慶はもちろん、東大(29位)京大(55位)を大きく上回っている。


しかし、この快挙に危機感を募らせるのが日本球界だ。在京球団のスカウト幹部が話す。


「今の親御さんは、プロ野球より将来の安定を考え、スポーツ推薦で著名大学に進学することを望む。大阪桐蔭や智弁和歌山が強豪校になったのはそのためです。米国の名門大学も可能となれば、メジャー志向の好素材は軒並み米国に行ってしまう」

スタンフォード大は有名スポーツ選手も多数輩出

スタンフォード大はフーバー米国大統領、グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏など数多くの政財界首脳を輩出。私立のため、スポーツにも力を入れ、野球ではヤンキースなどで通算270勝を挙げて殿堂入りしたムシーナ、ホワイトソックスでサイ・ヤング賞を獲得したマクダウェル。テニスのマッケンロー、ゴルフのワトソン、タイガー・ウッズも同大学の出身だ。

球界が気を揉むのは、佐々木の狙いが特急券を使ってメジャーに転身する新ルートにあるからだ。全米大学体育協会(NCAA)と米大リーグ(MLB)は米国内の4年制大学の学生との契約を3年生以上とする協約を結んでいる。米大学では3年時にドラフトにかかると、退学してプロが一般的。卒業が難しい大学だけに佐々木も3年で指名されれば渡りに舟。退学して21歳でMLB入りとなる。


一方、日本のプロ野球に入ると、メジャーに挑戦できる海外FA権の取得に9年かかる。ポスティングシステムという抜け道もあるが、25歳未満の選手は譲渡金が制限されるため、昨年末の佐々木朗希(ロッテ)がそうだったように、球団は安易に容認しない。


「このオフ、山本由伸が12年総額455億円でドジャースに移籍できたのは、25歳となりオリックスに72億円の譲渡金が入ったからだ。渡米に7年を要したが、米大学経由なら最短3年でMLB入りが叶う。この差は大きい」(スポーツ紙記者)


見逃せないのが、日米のドラフトの契約金と規模の差。日本野球機構(NPB)のドラフトは12球団が4~10人程度を指名し、1位指名でも契約金は最大で1億円プラス出来高5000万円。一方、傘下に複数のファームを抱えるMLBは、30球団がウェーバー方式で40巡目まで指名する。1200人規模と門戸が広く、契約金も桁違いだ。