5期連続の大赤字!大塚家具・久美子 前社長はどこへ行く!?~企業経済深層レポート

大塚家具の〝かぐや姫〟こと大塚久美子社長が、過去の業績の責任を明確にすることを理由に12月1日付で辞任した。かつては無借金経営で現預金110億円を持つ優良企業として名を馳せ、創業家一族の権威を社内外に誇示していた大塚家具だが、業績は坂道を転がり続けるように悪化。その過程で久美子氏は、実父である大塚勝久氏と経営方針をめぐって対立し、一時は連日のようにワイドショーで取り上げられる騒ぎとなった。

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あれから6年、大塚家具はかつてのように再び光輝くこともなく、創業家一族は経営陣から消えていった。今後、大塚家具はどうなるのか、そして久美子氏の行く末は?

全国紙経済部記者が、一連の流れを簡単に解説する。

「先代の勝久氏は会員制をベースに、顧客につきっきりで接客する独特の販売手法と、高度成長期に伴う戸建てブームに乗って急速に業績を伸ばしました。2006年には売上高が700億円を突破するまでに成長。中高級品を主体とする国内屈指の家具販売店として、揺るぎない地位を築いた」

しかし、この頃をピークに中高級家具の購買層が急減し、09年には売上高が600億円を切り、約14億円の赤字を計上した。そのため、勝久氏は経営悪化の責任を取る形で辞任し、娘の久美子氏が社長に就任することになった。

大塚久美子 前社長の「大衆路線」が業績不振を加速

「経営を引き継いだ久美子氏は、赤字脱却の手段として、当時、低価格路線で急速に業績を伸ばしていたニトリやイケアの製品を意識し、低価格家具にまで間口を広げて販売。また、会員制度の廃止など新販売戦略を打ち出した。ところが、この販売戦略に大株主の勝久氏が猛反対したのです」(同)

すると14年7月に、勝久氏が久美子氏に辞任を迫り、自身が再びトップに就任。しかし、半年後には再び久美子氏が社長に返り咲くなど、経営権をめぐって激しい親子バトルが勃発した。

「最終的には久美子氏が経営権を掌握したが、肝心の業績は好転せず、久美子氏の大衆向け低価格路線は、先行しているニトリやイケアに切り込めなかった。その一方で、かつての会員を中心に、中高級品志向の顧客離れも起き始めた。つまり、大塚家具の立ち位置の中途半端さが、売り上げを削ぎ、体力を奪っていったのです」(同)

一連の騒動で傷ついたブランドイメージを回復できないまま、資金繰りに苦しんでいた大塚家具は、19年12月、大手家電販売店のヤマダ電機(現ヤマダホールディングス)の出資を受け入れる形で、同社の傘下に入った。

その狙いを経営コンサルタントが分析する。