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仁義なき戦い「自民党VS公明党」2021年衆院選『広島3区』

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国会議事堂 (C)週刊実話Web

東京地検特捜部に公職選挙法違反容疑で逮捕された元法相・河井克行被告の離党で、自民党空白区の広島3区が大混乱だ。原因は次期衆院選をめぐり、公明党が候補者擁立を決めたため。自民党広島県連も一歩も引かない構えを見せており、与党である自公両党の間で「仁義なき戦い」が濃厚となっているのだ。

混乱に拍車を掛けているのは、公明党の支持母体である創価学会と太いパイプを持つ菅首相が「広島3区」を生贄に差し出すのではないかという疑念だ。菅首相の動向に地元自民党県連はピリピリしている。差配を一歩間違えれば、広島を牙城とする岸田文雄前政調会長との対立が激化する雲行きだ。

広島の自民党関係者が怒りを込めてこう解説する。

「岸田派は広島で6人の国会議員を擁する。自民党空白区となった広島3区も当然、岸田派主導で候補者を擁立する手筈で動いていた。公募の結果、10人の候補者の中から選ばれたのが2期目の石橋林太郎県議。ところが、選出直後、県連会長の岸田派の宮沢洋一参院議員が党本部で山口泰明選対委員長と会い、石橋県議を広島3区支部長に選任するよう要請すると、歯切れの悪い対応だった」

岸田氏斬りに舵を切った菅首相と二階幹事長

自民党本部の不可解な対応について、政界消息筋が指摘する。

「『菅首相と二階幹事長はハナから広島3区に自民党候補者を擁立する気がないから』ともっぱらです。公明党が11月の段階で、広島3区に斎藤鉄夫副代表の擁立を発表している。その前段で山口那津男代表が菅首相と二階幹事長に斎藤副代表の出馬を伝えた際、2人とも『ノー』と言わなかった。そのため公明党は黙認、了承されたと確信し擁立に走った。公明党=創価学会との協力関係を天秤にかけた菅首相と二階幹事長は、広島自民党と岸田氏斬りに舵を切ったんですよ」

公明党に配慮する理由は2つあるという。

「1つは、自公で調整が難航した75歳以上の高齢者の医療費窓口負担額の引き上げ問題です。現在の1割負担を2割に引き上げ時、所得をどこで線引きするか。自民は菅首相が強く主張した年収170万円から。公明は年収240万円からだった。この隔たりは金額にして年間2000億円もあり、双方の溝が埋まらず揉めに揉めた。だが、12月9日に菅首相と山口代表のトップ会談で菅首相が提案した年収200万円妥協案でシャンシャンとなった。もちろん、公明が引き下がったのは、菅首相と創価学会の太いパイプに加え、広島3区で公明候補擁立を黙認したためだろう」(自民党岸田派議員)

大阪における相関関係がいい例だ。大阪都構想の住民投票で自民党大阪府連は反対を鮮明にしたが、自民党本部は推進した維新寄り。地方と本部で立場が分かれたのだ。それにしても、なぜ公明党は広島3区にこだわるのか。