仁義なき戦い「自民党VS公明党」2021年衆院選『広島3区』

「実は、昨年の参院選比例区で公明党得票は約653万票で、前回の2016年と比較して104万票も得票を減らした。600万票台は実に27年ぶり。ひるがえって総選挙で広島を含む比例中国ブロックは、これまで公明党は民主党政権誕生時以外は常に2議席をキープしていた。昨今の公明党票の減り具合などから総合的に判断すると、次の総選挙は中国ブロックで比例2議席を確保するのは厳しい見方が浮上していた。だから河井夫婦問題を千載一遇のチャンスと捉え、1議席を確実に選挙区で押さえようとした。そのため選挙区擁立にこだわったのでしょう」(選挙アナリスト)

菅首相、二階幹事長が公明党候補の選挙区擁立を黙認する2つ目がこれだ。

「当面、菅首相と二階幹事長は二人三脚で歩調を合わせ、政権運営していくのは間違いない。そんな中、コロナを抑え、東京五輪を成功させ、経済活動をキープできれば、来秋の自民党総裁選も菅再選となる。とはいえ、政治の一寸先は闇だ。9月の総裁選で岸田、石破の両氏は大差で敗れたものの、次の芽がついえたわけではない。この際、2人を叩くだけ叩いておきたいのが菅首相周辺の考え。まずは岸田氏だ。広島3区に自民候補を擁立できなければ、求心力がなくなる。岸田派内で世代交代が起きるはず」

と語るのは政治部記者。

菅政権維持のためダシに使われる広島3区

「菅、二階周辺は選挙区を公明党に譲れば、自民党候補を比例中国ブロックの上位で処遇する妥協案を模索しているようだ。一方で、公明党は岸田派に対し、他の岸田派議員の選挙区で公明党、学会は協力しないというブラフもかましてきている。1選挙区の公明党票は平均約2万票。一部で悲鳴が上がっているのも事実です」(同)

「何があっても、広島3区は譲れない。自公激突、双方共倒れでも戦わずして破れるよりはマシ。菅政権維持のため、広島3区をダシに使われては宏池会(岸田派)も舐められるだけだ」(前出・岸田派議員)

そもそも、広島3区選出の河井被告は無派閥で安倍前首相、菅首相の側近だった。妻の案里被告にしても、岸田派重鎮の参院議員がいた選挙区に安倍・菅コンビが地元県連の頭越しに2人目として案里被告を擁立した経緯がある。

「通常の選挙資金の10倍という1億5000万円を党本部から得た案里陣営がカネをバラまいた結果、買収疑惑だ。公明党候補出馬を黙認すれば、菅・二階コンビの首を絞めるだけ。自民一体となって闘う姿勢がなければ政権はガタガタになる」(竹下派幹部)

政界に仁義なし。