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日本ハム・斎藤佑樹「引退」が急転「現役続行」の全舞台裏

Andrey Yurlov / Shutterstock

引退を撤回し再起へ――。

12月9日、北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹が契約更改を終えた。3年連続で勝ち星ナシ、プロ10年の節目でありながら一軍登板ゼロという屈辱も味わった今季。右ひじの故障があったとはいえ、二軍戦の成績は1勝3敗、防御率9.31では〝普通〟の選手なら、とっくにクビを宣告されていたはずだ。

「350万円ダウンの1250万円でサインしました(金額は推定)。1000万円以上の年俸が保証されているようです。厳しい言い方になりますが、ファームで必死にやっている若手はその半額以下ですよ」(スポーツ紙記者)

もう一度、一軍へ。

しかし、周囲は〝引退〟を予想していた。話は、10月16日までさかのぼる。

同日の巨人二軍戦だった。斎藤は三番手でリリーフ登板したものの、3分の2イニングで5失点と大炎上。直球の球速は130キロそこそこ、「打ってください」と言わんばかりの球だった。

この時点で、囁かれていたのは、「今季の一軍昇格はなさそう」の悲観的な声である。栗山英樹監督はチームが優勝戦線から完全に脱落し、来季を見据えた選手起用に切り換えつつあった。

「ここで結果を出せば、斎藤も一軍登板のチャンスをつかんだはずです」(同)

6日後の同21日、一軍は早くも、優勝の可能性が完全に消滅し、翌22日、札幌ドームに来ていた吉村浩ゼネラルマネジャーが記者団につかまった。

“斎藤佑樹引退”に備えて予備原稿も作られた…

「何も決まっていません」

吉村GMにぶつけられた質問は、栗山監督の進退問題だった。勝ち星ナシの斎藤のことも聞きたかったが、それがかなったのは、11月9日の今季最終戦だった。

「靱帯の損傷。それも、春先から違和感を抱えていたそうです」(ベテラン記者)

気になったのは、その治療法だ。手術はしないという。吉村GMは「相談中」とはぐらかしたが、靱帯損傷は全治数カ月の重傷だ。メスを入れないとすれば…。ここで、「引退」の憶測が一気に広まった。

「万が一に備え、引退の予備原稿も作られました」(メディア関係者)

のちに、自身から採取した血液から特定成分を集めて患部に注射するPRP療法での治療が施されたと判明したが、引退の憶測が広まった理由はほかにもある。栗山監督との個別相談だ。

「3年間、一軍で勝ち星ナシですからね。まして、近年の斎藤はオフ返上も同然で必死に努力してきました。右ひじの故障が重なり、栗山監督に胸中を聞いてもらいました」(球界関係者)