栗山監督は「オマエはどうしたいんだ?」と、厳しく問いただしたという。斎藤の野球人生である。自分自身で決めるべきとし、その決断をサポートすると伝えたかったようだ。
「プロ野球選手の大多数は、フロントから戦力外を通告されます。自分で現役を続けるかどうか、決められるのは、一部の一流選手だけ。その意味で、斎藤は恵まれていると言えるでしょう」(前出・ベテラン記者)
同じ頃、日本ハムOBがユーチューブ内で斎藤の人柄、頭脳明晰さを讃えていた。〝新しい情報〟が流れたのではないかとも予想されたが、12月2日付の保有者名簿には「斎藤の名前」があった。
保有者名簿とは、来季も契約する予定選手のリストだ。少なくとも、日本ハムから戦力外を通告されることはないと判明した。
「契約更改後の会見で、PRP療法を終えたことが、斎藤自身の口から伝えられました。ひょっとしたら、更改中に自分から辞めたいと言い出すのではないかとも予想されていましたが」(前出・ベテラン記者)
靱帯損傷の治療だが、一般的にはトミー・ジョン手術のほうが知られている。しかし、同手術が復帰まで1年以上を要するのに対し、PRP療法は6週間程度での復帰も可能な最新療法だ。
「14年7月、右ひじ靭帯の部分断絶を負ったヤンキースの田中将大が、PRP療法を受けています。同年の10月には実戦復帰し、関係者を驚かせました」(同)
“ライバル”田中将大とは年俸100倍以上の差が…
夏の甲子園の決勝戦で投げ合った田中と斎藤。ライバルとして位置付けられていたのも束の間、今や2300万ドル(約24億円)を受け取る〝世界のTANAKA〟に対し、年俸面で言えば100倍以上と、両者の差は埋められないほど開いてしまった。
「ヒドい冗談があるんです。田中は楽天時代の最終年、24勝負けナシ。これに斎藤が『25勝してみせる』と言い、『通算か?』と突っ込まれたそうです」(同)
斎藤の長所は、投手としての「総合力」にある。走者を出し、セットポジションになると、投球モーションに入るまでの静止時間を変える。牽制球を投げなくても、走者を惑わせ、走らせないテクニックがある。バント処理も巧いのでセ・リーグ向きかもしれないが、「環境を変えて」なんて悠長なことを言っていられる年齢ではない。
「昨年オフ、続投が決まった栗山監督は、『鬼になる』と口にしました。結果、期待する選手を使い続けて、それでも勝利に結びつきませんでした。斎藤が一軍で投げるとき、結果を出せなかったら、『口だけか!』と、ファンは監督を責めるでしょう」(前出・球界関係者)
現役続行の選択を、自己満足で終わらせてはならない。チームも2年連続で低迷しており、勝利は最優先課題。斎藤は、より厳しい道を選んだようである。
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