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コロナ禍で「むしろ大人気」の高級グルメとは?~企業経済深層レポート

コロナ禍でせめて美味しいモノでも食べないと…
コロナ禍でせめて美味しいモノでも食べないと…(画像)Maksim Toome / Sutterstock

師走を迎えても新型コロナウイルスの勢いは一向に衰えず、日本各地で感染者が増えるばかり。われわれ国民の外出自粛、巣ごもり生活も長期にわたり、日々のストレスがたまる一方だ。そんな中、せめて「おいしいもの」を食べたいという美食志向が高まり、通常時なら需要が少ない「高級グルメ」の売り上げが伸びているという。

まずは時節柄、クリスマスに向けての高級宅配料理が人気を呼んでいる。高級ホテルの関係者が明かす。

「今はどこのホテルでも宿泊客が減少し、GoToグルメも足並みが乱れて苦しんでいる。そのため、限定数でクリスマスパーティー用の料理セットを販売するホテルが増えています。2~3人用のセットで3万から8万円とお安くはないが、一流シェフが腕を振るっているところに価値がある。よく売れているようです」

年末商戦真っただ中の百貨店では、お歳暮商品が順調に推移している。オンラインストアでの売り上げも好調で、今年はコロナ禍の影響なのか、お歳暮商品を家庭用として購入する傾向が強いという。

「不動の人気を誇るのが高級ワイン。2万円~3万円の高額単価にもかかわらず、よく売れています。高級な贈答品を自宅で楽しむ人が、今年は明らかに増えています」(フードアナリスト)

また、北海道産の活ホタテの詰め合わせやイクラのしょうゆ漬け、松阪牛を使った牛丼やハンバーグなど、5000円以上のお歳暮商品が家庭用として人気を博している。

15万円の「お取り寄せ高級おせち」が早期完売

「コロナ禍でなかなか遠方まで足を延ばせないため、旅をしている気分でご当地グルメを味わうのもオツでしょう」(同)

もちろん、高級志向の波は正月のおせちにも及んでいる。今年は「お取り寄せ高級おせち」が、例年の1.5倍から2倍の売れ行きだという。百貨店のギフト担当者がこう言う。

「お正月だけでも豪華に過ごせるよう、今年のテーマは高級志向です。お取り寄せおせちは、例年なら3人前で3万円前後というのが相場ですが、今年は出足も好調で、10月ぐらいから5万円以上の予約がどんどん入っています」

また、名だたる高級料亭とコラボした「ブランドおせち」も人気だ。

「老舗料亭『東京吉兆』のおせちは有名ですが、15万円以上のお取り寄せ商品が早い段階で限定数に達しました。昨年までは考えられなかったことです」(同・担当者)

これらのおせちはファミリー向けのものだが、新しい傾向としては「おひとりさま用の高級おせち」も出現し、なかなかの売れ行きを示している。