メディアで紹介される機会が多いせいか、最近は高級志向の冷凍デリカテッセン(調理済み洋風総菜)も人気を呼んでいる。
「幻の和牛と呼ばれる奥出雲和牛のプレミアム・ローストビーフは、サーロインが550グラムで2万円とかなり高額だが、都内の高級住宅地にあるスーパーや通販でよく売れています」(前出のフードアナリスト)
パリの三つ星レストランで副料理長を務めたフランス料理界の巨匠が、香味野菜とスパイスで下味をつけ、低温でじっくりロースト。脂の甘みにとろけるような食感のサーロインは、一度は食べてみたい極上の逸品だという。
「コロナ前に比べると需要は4~5倍に伸びており、今や大人気商品となっています」(同)
高級グルメ志向は日本酒にも波及している。日本酒業界の関係者が言う。
「特に通販関係は驚異的な売り上げを示している。例えば、ある通販サイトは緊急事態宣言が出された4月以降、対3月比500%超えの売り上げを連発している。特に1本(720ミリリットル)1万6000円台と、これまでの日本酒価格の常識を破る高級酒が、1日100本、200本と飛ぶように売れている。外食自粛で外飲みに行けなくなった反動で、おいしい日本酒を求める傾向が強くなったとみています」
高級日本酒を求める動きが世界的に活発化
こうした風潮の中、熟成日本酒の価値を広め、世界に発信する業界団体「刻SAKE協会」の取り組みが注目されている。設立メンバーである7つの蔵元からそれぞれ秘蔵の1本を商品化し、さらに、高名なソムリエの田崎真也氏が特別ブレンドした1本を加え、計8本(各720ミリリットル)を限定20セットで売り出したのだ。
注目はその価格で、2020年にちなんで202万円と、異例の高額商品として注目を浴びた。限定セットは12月上旬まで受け付けており、限定数を超えれば抽選での販売になるという。
「今年11月10日に香港で開かれたオークションで、旭酒造(山口県岩国市)の有名銘柄『獺祭』(720ミリリットル)が約84万円という破格値で落札されるなど、世界的にも高級日本酒を求める動きが活発化している。日本酒業界もコロナ禍を逆にチャンスとして、高級酒の需要を増やしたいと意気込んでいます」(同・関係者)
現状ではコロナが収束に向かわない限り、そのダメージの度合いは予測不可能だ。そんな中での高級グルメ志向の高まりは、食産業に関わる人たちの一縷の希望となっている。
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Maksim Toome / Sutterstock
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