菅義偉首相「してやったり!」安倍前首相“捜査”で消えた1月解散

「特捜、安倍前首相に事情聴取要請か」「二階派農水族のドン・吉川元農相、現金授受を巡り特捜捜査か」。菅首相にとってみれば、政権の命綱と思われる2本の綱が風前の灯だ。さぞや真っ青となっていると思いきや、さにあらず。「2つの特捜捜査で1月解散が中止になった」(政界消息筋)と、菅首相がほくそ笑んでいる情報が永田町を駆け巡っている。〝してやったり!〟菅首相の本音を探った。

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まずは、風雲急を告げる東京地検特捜部の2大案件の経緯について触れておく。

「1つ目の安倍疑惑は昨年来、国会でも騒がれ告発騒動となった『桜を見る会』の前夜祭だ。特捜部は前夜祭を主催した安倍後援会代表者の公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)容疑で立件する方針を固めた。不記載は6年間総額3000万円相当で、このうち安倍事務所補填額は900万円前後にのぼる。そのため、特捜部は臨時国会閉会後に安倍前首相への事情聴取を要請したのです」(全国紙政治担当記者)

2つ目は吉川貴盛元農相の現金授受疑惑だ。

「吉川氏は農相時代、大手鶏卵生産会社『アキタフーズ』の元代表から複数回にわたり、現金計500万円を受け取っていた疑惑が浮上し、特捜部が捜査している。アキタフーズ元代表は、養鶏業界団体の大幹部だった当時、家畜飼育の国際基準が日本の養鶏業者の負担にならないよう働き掛け、さらに鶏卵価格下落時の業者への補填措置を求めていた。その見返りに議員会館などで数回に分け、吉川氏へ現ナマ攻勢をかけていた疑惑です」(同)

安倍前首相を“目の上のたんこぶ”視する菅首相

2つの疑惑と菅首相の関連性について政治部デスクが解説する。

「菅首相は安倍政権の女房役として官房長官を7年余り務め、9月の総裁選では『安倍政権の継承』を掲げ圧勝した。それだけに、安倍前首相への事情聴取は首相にも大ダメージと思われた。しかし、本人はまったく意に介さずニコニコだ。というのも、菅政権発足後、療養に専念していた安倍前首相は新薬治療で順調に回復し、来秋の自民党総裁選再々出馬が期待されている。つまり、菅政権は短期内閣に終わる気配があった。安倍前首相を『目の上のたんこぶ』視していた菅首相にすれば、安倍前首相への事情聴取は再々出馬を断念させる絶好の機会。永田町では『桜を見る会疑惑の再燃は菅ユダ説』がしきりに流れたほどです」

続いて吉川疑惑だ。吉川元農相は当選6回の二階派事務総長(疑惑発覚後に辞任)で、9月に行われた自民党総裁選では菅選対の事務局長を務めた重鎮だ。