相次ぐ「ナンバープレート」盗難!まさかに備えた対策法とは~企業経済深層レポート

「あっ、ナンバープレートがない!」

家族と小旅行に出かける日の朝、いざ車で出発しようとしたら、なんと、ナンバープレートがドロンと消えていて、すべての計画が台無し。こんな泣きたいような体験を持つ人が、国内で増えているという。

車の部品を狙った盗難の中でも、ナンバープレートの被害件数の割合は年を追うごとに高まっている。ホイールやナビなども含めた部品の盗難件数は、2007年には7万8016件に達していた。このうちナンバープレートだけに限れば2万5569件で、その比率は約33%だった。

「19年の警察庁統計を見ると、部品の盗難件数は1万6585件で、07年に比べると大幅に減少。この傾向には車のセキリュティー対策の進化と、所有者の防犯意識の高まりが影響していると考えられる。ナンバープレートの盗難件数も8267件に減っているが、問題はその割合で、19年は49.8%とほぼ半数を占めています」(警察関係者)

そして、ナンバープレートの盗難比率が高まっている背景には、金銭が絡んだ2つの理由があるという。

まず1つ目は、車の盗難をスムーズにするための小道具として、ナンバープレートが利用されていることだ。車を盗難された被害者が警察に盗難届を出すと、道路に張り巡らされた防犯カメラにより、各車のナンバープレートがチェックされる。そこから盗難車の移動状況が割り出され、犯人たちが捜査の網に引っかかる寸法だ。

日本のナンバープレートは海外コレクターに人気

「窃盗グループは捜査を撹乱するため、事前に盗んでおいたナンバープレートを偽造し、デタラメなナンバープレートと盗難車のナンバープレートをすり替える。そうやって海外に盗難車を運び出すまで、警察に尻尾をつかまれないよう時間稼ぎをするのです」(同)

そして2つ目は、日本のナンバープレートが海外で人気を博していることで、コレクターたちは日本のナンバープレートを珍しがり、自分の車や部屋を飾る装飾アイテムとして見ているという。中古車販売の関係者がこう解説してくれた。

「海外の日本車愛好家の間では1枚4000~5000円と、そこそこの値段で売買されています。これが盗難されたものなのか、廃車手続き(抹消登録)で外されたものなのか、詳しいところは分かりませんが、いずれにしても日本のナンバープレートが海外に持ち出されることは違法です。東日本大震災の直後には、津波で流された車から外されたと思われる東北地方のナンバープレートが、アメリカ国内のカー用品店で大量販売されていたことも確認されています」