バイデン新政権が北朝鮮へ強硬! 金正男氏の息子“切り札”金漢率擁立へ

北朝鮮は2008年のオバマ前大統領、16年のトランプ大統領の当選時に、それぞれ祝意を表明している。両者に共通するのは、選挙期間中に北朝鮮が求めていた直接交渉に前向きで、それも首脳会談に応じる意向を示していたことだ。

「ブッシュ元大統領からは『悪の枢軸国』のレッテルを貼られた上、イラクの次は北朝鮮だと武力攻撃の脅しまで受けていた。しかし、続くオバマ、トランプ両氏は、北朝鮮の『最高尊厳』である金正恩朝鮮労働党委員長への個人攻撃はしませんでした」(北朝鮮ウオッチャー)

ところが、バイデン次期大統領は、選挙期間中も一貫して正恩氏を罵倒し続けていた。バイデン氏が正恩氏との直接対話について言及したのは、たった一度きりで、「核能力の縮小に同意すれば」(20年10月)という条件付きだった。

核廃棄ではなく「核能力の縮小」という表現が意味するところは、核保有国認知への道を開くことであり、それは北朝鮮の念願をかなえることにつながる。

「米中央情報局(CIA)は、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術を確保し、実戦に投入できる能力を備えたと認識している。再突入技術とは、大気圏の外に出たICBMが再び大気圏に突入する際、爆発や軌道の離脱などをせずに最大7000~8000度の摩擦熱に耐えることで、ICBM開発における最終関門です。事実とすれば、米国全域が北朝鮮の射程に入ることになる」(軍事アナリスト)

“核軍縮交渉”では脅威は減らない…

もちろん、米国は朝鮮半島有事の際に、北朝鮮内にある核兵器や核関連物質が移動しないよう、特殊部隊を送り込む作戦計画を保有している。しかし、それが完璧というわけではない。

「米国は北朝鮮の核関連施設を24時間監視した結果、90%までは把握しましたが、残りの10%は不明です。その中の1つが平壌近くの降仙にあるウラン濃縮施設で、18年10月、この施設の廃棄をポンペオ国務長官が迫りましたが、正恩氏は施設の存在自体を認めようとしませんでした」(同・アナリスト)

今年の9月にはIAEA(国際原子力機関)も、北朝鮮が降仙の施設で活発な核活動を行っていると指摘している。

「もし、バイデン政権が核軍縮交渉を持ちかければ、北朝鮮は軍事挑発などを中止して、大喜びで協議に応じるでしょう。そして、核兵器をほんの数個残しておくか、技術者の身を潜ませておく。そうすればいつでも核開発を再開できますからね。いくら核軍縮交渉を重ねても、日本への脅威は変わりません」(同)