巨人・菅野智之投手“メジャー転身”引き止めへ球団が方向転換!

ポスティング・システム(PS)を使った今オフのメジャーリーグ挑戦が確実視されていた巨人の菅野智之投手に、球団内で「見直し論」が高まり、消滅の可能性が出てきた。後釜に期待した中日の大野雄大投手の「残留」が決まり、これを受けて菅野は来オフに海外FAでのメジャー挑戦に方向転換する――。

菅野の今オフのメジャー挑戦は決定事項のように報じられていたが、実は球団も本人も正式な見解は示していない。昨オフ、山口寿一球団オーナーが「菅野はドラフトで1年待ってジャイアンツに来てくれた。その分、海外FA権を取得する時期も後ろの方にずれている」と発言したことが、そもそもの始まりだ。

「日本のプロ野球選手がメジャーに転身する場合、一軍に9シーズン(1シーズン145日)登録されて海外FA資格を獲得するのが条件です。松坂大輔やダルビッシュ有、田中将大のように、球団が所属選手の移籍を認めた場合、PSを使ってメジャー球団に移籍することもできます」(専門誌記者)

菅野の場合、2011年のドラフト会議で叔父の原辰徳氏が監督を務める巨人の単独指名が濃厚と見られる中、日本ハムが強行指名。抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得した。

しかし、菅野は日本ハムへの入団を拒否。1年浪人までして翌年のドラフト会議で巨人の単独1位指名を待ったという経緯がある。

「昨オフの山口オーナーの発言は、この1年間の浪人分を考慮し、1シーズン分前倒ししてカウントするという温情を示したもので、ここから『PS移籍決定説』が一人歩きしていた。ところが、ここにきてアメリカの新型コロナウイルス感染拡大と後釜問題で、取り巻く状況が一変した」(巨人OBの野球解説者)

中日のエース・大野が残留を決めた理由とは…

最大の誤算は、巨人が菅野の後釜に期待した中日のエース左腕、大野の残留表明だ。今年7月に国内FA権を獲得した時点で、移籍は不可避と思われたが、11月11日になり行使せずに残留することを表明。菅野の穴埋め問題が再燃したのだ。

「今季のセ・リーグの投手タイトルは、菅野と大野が独占しました。仮に菅野が抜けても、11勝6敗、10完投(6完封)で、防御率(1・82)と奪三振(148)1位の大野を獲得できれば、巨人の優位は揺るぎません。ところが、オフを待たず大野は今季の1億3000万円から大幅アップとなる年俸3億円プラス出来高払いの3年契約で大筋合意(金額は推定)してしまいました」(前出の専門誌記者)

残留の理由について、「(大学4年の)怪我しているときに最後のリーグ戦で1試合も、1球も投げられないまま迎えたドラフトで1位指名していただいた。その恩はまだ返せてない」と、球団への恩を挙げた大野だが、実はもう一つの好条件があった。それが、〝コロナ禍の様子見〟である。中日は、予定する契約書に「本人が希望すれば、中日球団はメジャー転身を容認する」という条件を織り込んでいたというのだ。