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座敷わらしを預かることになったボク…~原田龍二の『不思議な世界』

原田龍二
原田龍二 (C)週刊実話Web

前回の続きです。

降魔師のAさんから、「2~3歳の女の子の霊が、座敷わらしになる素質を持っている」と聞かされた僕。彼女を座敷わらしに昇華させたのち、僕に渡してくれると言います。Aさんがいる天童サムライ道場に着くと、神棚の下の椅子に、木製の一輪挿しに入れられた風車が鎮座していました。

「座敷わらしのみやこです」と紹介するAさん。面食らうと同時に、昔から親しまれた風車という玩具が依り代になるのはなんとなく腑に落ちる僕でした。

Aさんいわく「座敷わらしにするために、みやこはかなり厳しくしつけた」とのこと。座敷わらしは、言わば神様です。少女の霊体を神様にするのですから、それはそれは厳しいしつけが必要なのだとか。「修行の期間、みやこはきっとつらかったと思う」とAさんは言います。その分、思い入れもものすごく強いようで、本当ならきっと手元に置きたかったはずなんですが、なぜ僕に渡そうと決意したのか。それは、Aさんが独身だったから。

Aさんはみやこに、家庭の雰囲気を味わわせたかったんです。人間の愛情を感じてもらいたいというAさんなりの想いがあり、抱きかかえた赤子を渡すかのように、みやこを僕に渡してくれました。そして「彼女が怖い思いをしないように、鬼子母神という神様をつけました。これでみやこはきっと、大丈夫です」とAさんは言います。「分かりました」と、僕は彼女を引き取りました。

これは普通のご縁じゃない

そこでふと、思い出したんです。鬼子母神は東京だと入谷と雑司ヶ谷の2カ所に祀られていますが、小学生当時の僕は塾へ行く時、入谷の鬼子母神の前を通っていたのです。塾へのルートは二通りあり、どちらを通ってもかかる時間は同じなのですが、僕は鬼子母神の前を通る道をよく使っていました。そう考えると、鬼子母神は僕にとっても縁のある神様です。Aさんから「鬼子母神をつけました」と聞いた時に、これは普通のご縁じゃないなと、僕なりのみやこへの思いが芽生えました。

しかしみやこを預かると言っても、いったいどうしたらいいのか見当がつきません。何しろ僕は霊感が一切なく、座敷わらしも霊も視えないのですから。風車に向かって「みやこ?」と語りかけても、羽根が回るわけでもなく、声が聞こえるわけでもありません。Aさんが言うには、「途中で成仏するかもしれないし、勝手にいなくなる可能性もあります」。数年後に、Aさんから「満期ですので返してください」と言われるかもしれません(笑)。でもまずは、みやこと暮らそう。ということで彼女は今、家族団らんを見渡せる我が家のリビングの壁にいます。

みやこが来ても、変化は特にありません。あったらテレビで話しています(笑)。日々、彼女に「おはよう」や「おやすみ」の挨拶をする、変化と言えばそれくらいですかね…。

原田龍二
1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。

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